"学習会"報告

                                                    2016年4月2日

高柳美知子の足跡に学ぶ集い

 

 「高柳美知子の足跡に学ぶ集い」として進めるはずの集会でしたが、所長の講演DVDが、機器の不具合で映写できませんでしたので、参加者がそれぞれ想いを語る集会になりました。

 参加者一人ひとりが、高柳所長の多面的勢力的な活動について、改めて思い起こすことができた集会となりました。発言の要旨をお伝えします。

 

 最初に、親族の立場で、姪御さんから所長の人となりや、納骨に至る経過などが話されました。

 所長のお兄さんは、名の知られた歌人だったが、その最初の弟子が所長だったとよく話していた。文学系の家系だが、それに加えて叔母はリーダー的要素を持ち、闘う女であった。人間的にはとぼけた面も持ち、人を励ますのが上手だった。

 葬儀は無宗教で行ったが、納骨は仏教で行い、群馬にある高柳家の墓に葬った。

 

研究所顧問保田弁護士から

 1996年「薬害エイズ」がきっかけで出会った。エイズは性感染症でもあるから、性教育には「薬害エイズ」関係者も関心があった。

感染症者の人権について、山本、高柳両所長は関心を持っていた。薬害で感染し、カミングアウトしていたジョナサン君を日本に呼んだのは山本所長。当時は輸血感染でもカムアウトはできなかったが、来日がきっかけとなり、川田龍平君のカムアウトにつながった。1997年、龍平君の支援に立ち上がり、山本所長に「支える会」の共同代表になってもらって以来の付き合いになった。被害を訴え、龍平君の実名公表を支えてもらった。

 薬害を起こしたミドリ十字のルーツである731部隊にも関心をもち、ハルピンを訪ねる旅に3回参加した。3回目には、マルタと呼ばれた生体解剖の犠牲者追悼の集いを現地で開き、供養した。これは撫順戦犯管理所記念館で感謝された。DVDも制作し、731記念館に寄贈した。

「日本にも戦争があった」シリーズでは、731部隊少年兵だった篠塚良雄さんに鋭い質問をし、聞き書きした本も出した。

 環境、人権の国コスタリカにも同行したりして、20年ほど共働した。

闘う姿勢を貫いたし視点が素晴らしかった。自分たちの視点を貫き、新しい問題にも取り組んだ。20年くらいの交流は意義があった。志を受け継ぎ今後もやっていきたい。

 

金子新所長補足

 93年当時、薬害エイズを教えるように言われたが、取り組む仲間は少なかった。歴史の研究するなかで、731部隊の末裔が薬を作ったことを知った。龍平さんはお通夜に参列した。政治活動の制約があり、きょうは参加できなかった。

 

 DVD製作者から

 731部隊関連からの付き合いだった。篠塚さん達とともに中国へも行った。篠塚さんは15歳で入隊し731部隊に配属された。生体実験の証言者として活動されていた。

 所長は現地でも篠塚さんに厳しい質問をしていた。きょう参加して話を聞き、自分なりに考えていきたい。相手とキチンと向き合って話していきたい。

 

子どもの未来社奥川社長から

 30年ほど前、『美しき惑いのあなたに』の出版がきっかけで、ご一緒に集会をまわったりした。それ以後講演会も続いた。『性と生の教育』の編集会議、NHK学園連続講座などを共にした。それ以来ずっとお付き合いが続いた。素晴らしい人だった。

 

金子由美子新所長から

 職場で性教育の進め方に悩んでいた時、性教協に繋げていただき、サークルの立ち上げにも力を貸していただいた。『アンネの日記』に基づく、痛い辛いとは異なる、月経を嬉しく迎えたアンネから、受け止め方の大切さを学んだこともあった。

NHK学園通信講座の添削では、悩み相談、嫁姑問題、悩み相談もあり、自分自身が鍛えられた。レポートの文章を校正され、紙面が真っ赤になってしまったこともあったが、そのおかげで、文章が書けるようになったと思う。

 性は政治的なことでもあり、デモにも参加した。私は川口市の教職員組合養護教諭部会で最後の一人になってしまった。過去の財産を継ぐ人が居ない状態。組合のトップリーダーでもあった所長の遺志を継ぎたいと思う。

 所長として今後進めていきたいので、ご協力ご支援を頂きたい。語り継ぐ会については、今後開催を考えたい。

 

 以下、参加者からの話

 

 ・北欧や中国への研修旅行に参加させてもらった。教師が性教育を学ぶのに、所長の存在は不可欠だった。話を聞くなかで、今まで構えていたのが和んでくるのを感じた。今後も自分の生き方のなかに、所長の言葉を取り込んでいきたい。

 

 ・NHK学園講座に参加させてもらった。生を考えたくて参加した。職場の学習会にも来ていただき、集団で話を聞く機会も持った。そのなかで、自分自身が変わっていったことを感謝している。

 

 ・所長の話を聞き本を読むことで、自分の人生を考えるきっかけとなった。今後改めて本を読み直し、学び直したいと思う。

 

 ・新聞記者時代から、組織としての性教協、研究所に関心があった。

障害、人殺しなど、マイナーな問題を追いかけるなかで、差別を許さないと考えてきた。性の処理に差別が使われることもあったが、新聞には強姦の言葉は使えない。性虐待の言葉がスレスレで使える状況がかつてはあった。今もあるかもしれない。そんな時代にタブーを作らず、活動してきた所長の存在は大きかった。

 『週間金曜日』には、タブーなく書けたので、書評を載せたこともある。『セクシュアリティ』には、記事を掲載させてもらった。家庭内暴力の息子を殺した父への減刑批判や、東日本大震災時には、子どもや女性についての記事を書いたことが記憶にある。

 

 ・35年前、『終焉の姉妹』制作に、所長が劇団に出資した時知り合った。その後連絡が絶えていたが、赤旗電話相談で所長の名前を見つけ、何十年ぶりかで交流が再開し、懇談室に参加するようになった。所長は尊敬と憧れを持つ好きな人だった。

 

 ・研究所が向かいにあった時には、実務的な手助けをしていた。所長はひらめきは鋭いが、実務は苦手だったので、日常的な手助けも必要だった。見かねて、旅行に付き合ったこともあった。

見舞いには行かれなかった。行って良いかと迷った。所長のような年のとり方をしたいという憧れの人だった。

 

 ・2007年10月に「冬のソナタ」の講演会をきっかけで、すごい人だと憧れて付き合いが始まった。731部隊、慰安婦問題、性教育などをズバズバ話していることにビックリした。「性は枯れない」と言うのにもビックリして、懇談室に参加してきた。

 

 ・13年前、読売新聞に写真入りで「高齢者の性」が載った。性についてざっくばらんに話せる場であり、解放される場になっている。話にはいやらしさがない。懇談室に参加するなかで、夫婦関係や悩み相談について学習し、考え方が成長できた。例えば、不倫についても、相手と家庭を傷つけず、家庭が明るくなれば良いのではないかと考えられるようになった。

 

 ・好奇心旺盛な人だったと思う。隅田川で船を借りて花見をしたことがあったが、楽しそうに芸者さんと話したりしていた。『日本の悲劇』をご一緒に観たときは、新宿の庶民的な飲み屋街に行って楽しそうにしていたこともあった。

 

 ・国分寺で開催された講座で出会った。すごい人だと思い、懇談室の例会に参加するようになった。川田さんの選挙を手伝ったこともある。

 

 ・今の社会についての知識を得、男が有利になる今の社会に、矛盾を感じていたのではないか。それを本にしたり、講演をしてきたりしたと思う。男有利社会がおかしい。それが作られたのは政治による。女が不利になるのは制度による。それを暴いたのが所長ではなかったか。男女同権を言い続けていたのではないかと、所長を通して感じた。

 

 ・懇談室例会ときょうの話で、魅力ある所長を知った。17歳の時戦争が終わった。それまでは戦争についてのみ教わり、生きることを教わらなかった。オスの攻撃性のみを知っていた。懇談室では、人がどうあるべきかを教えられた。若い人だけでなく、取り残された年寄りも勉強させてもらいたいと思う。

 

 ・ラパスホールで開催された「戦争と性」がテーマのセミナーがきっかけで、懇談室に参加するようになった。「星の流れに」の朗読を頼んだことがある。年を感じさせない可愛らしい人だと思った。話が充分できなくなってからも、懇談室に参加していた。来られなくなって施設入所された。それで生きる意欲が無くなってしまったのではないか。先に心が死んでしまい、それから身体の死を迎えたように感じる。早い死だと思う。


 

"学習会"報告

                                                    2015年3月21日

性と生をめぐる悩みに答えよう

 

● はじめに

 金子所長代行より『女子高生 スマホに潜む危険』の記事をもとに、今の小中学生の状況についての話がされた。

・ インターネットの動画サイトが、子どもたちを引き寄せている。

 中学生が、動画の裸サイトに、自分のダンスパフォーマーを投稿する例。

 ダンスをするときは、普段とは別人になる。投稿がエスカレートすると、衣装が派手になったり、エロイ衣装になったりする。

・ サイバー補導が必要になっている。

 サイトは、個人対個人のやりとりになるので、小学生まで自分のショーツを売るような状況がある。

 家族支援カウンセリングの例

 援助交際している女子生徒を指導するなかで、母や姉が売春している状況もあった。

 保健室登校の実態

 生徒数の1割くらい居る。以前は、特定のアジトがあったが、今はネットでの繋がりになり、交友関係が不明になっている。

 単親、ステップファミリーから見えてくること。

 今は保健調査票に父母の欄がない。ステップファミリーの増加によるもの。

 週1、月数回の保健室登校の生徒では、ステップファミリーが5割を超えている。

 単親の場合、家事が後回しになり、子どもの面倒を充分見られない。なかには、6人目のパパが居る子祖母に育てられている子なども居る。

 経済的にも苦しく、200万以下の収入しかない場合も多い。

 養育費の取り決めは40パーセントがしているが、受給は20パーセント程しかない。

 進学では、制服がなくて行かれない生徒が2名居た。公立1本の生徒が2割を超え、落ちたら定員割れの学校へ行く。しかし入学しても肯定感が持てず、中退する例も多い。

 給食費が未納のまま小学校を卒業してしまう子どもや、小学校ですでに30万以上の未納がある子どもも居る。

 

 グループ別ワーク

 離婚した相手が面会を求めてきたが、会わせたくない母子家庭の事例をもとに「面会交流」についての相談事例を取り上げ、「相談者」「カウンセラー」「ジャッジ役」の3人1組になり、それぞれのグループで話し合いをした。相談設定概要は以下とした。

 

以下は、話し合い後の発表例。

 

● ワーク後の補足・質疑

 日本は協議離婚が90パーセントになっているが、両者の合意とは言えないケースもある。

親権者を決める場合、子どもの希望によるケースもある。親権者の権利には、身上監護、住所指定、懲戒、職業許可、財産管理、代理がある。 

 日本は親権に関して不安定。欧米では、共同親権が広がっている。法整備ができている。面接交渉権がある。

 調停の方がはっきりして良い面もある。親権にかんしては、特に第三者を入れるほうが良い。

 

・離婚に関するトラブル

 1日1918組が結婚し、689組が離婚している。そのうち、58.5パーセントには未成年の子どもが居る。

 おとなの立場としては、会えない親の立場、会わせない親の立場がある。

 子どもの立場として、会いたいかどうかを子どもにまず聞く。会いたい子、会いたくない子がいる。厚労省の調査では、3人に一人くらいしか子に会っていないのが現状。

 子の立場に立って、子に手を差し伸べることが最も大事。おとなの価値観で子に言ってはいけない。

 ステップファミリーのなかで、新たに生まれた子を「セメントベイビー」と言う。子として、ステップ互いの親子を繋げる努力をしている。

 経済的に優位に立てれば、シングルでも全く問題ない状況はある。就職差別はない。

 

 

 

 


 

"学習会"報告

                                                    2014年3月29日

「性・政・生ー心とからだの主人公に」

1 問題提起1 子どもたちの今〜性と政  

所長代行 金子由美子

 

  学校内での政治的問題の例をいくつかあげた。企業よりのポスターが学校に来ていたり、企業・団体からの勧誘も知らぬ間に来てしまっている。問題意識を持たない担当者はそのまま掲示してしまうこともある。かつて、教員が子どもたちを戦場に送り出した歴史があるが、今日の状況はそれに似ていると言っても過言ではないくらいの状況にある。  子どもが子ども期を豊かに過ごす権利が保障されにくい例として、人気を誇っている芦田愛菜さんをとりあげ、 子役の現状についても触れた。子役を続けるために学業との両立が困難になったり、学校内で居場所が無くなったりするなど、子どもの発達が阻害されている例も多い。保護者に改善を求めても「ステージママ」と化していて、改善されない。子どもが犠牲になっている。

 ラインなどでのトラブルも増加している。中学校では7割でトラブルが発生しているとの報道もある。メールのやり取りでは、すぐに返信しないと無視されたと思われるので、ポリ袋に入れて入浴中にも返信できるよう気を使ったりして、ラインに支配されている現状もある。それに対しての有効な手段が今はとられていない。

 

2 問題提起2 子どもたちとともに学ぶ性教育〜山本直英のめざした性教育とは  

 副所長 岩淵成子

 山本直英は、山宣の性教育を受け継いで、性教育を進めた。

山宣の性教育は真実を追究する科学教育と、自律・自知・自敬・自制を含む自立教育を重視した。「人間らしい性」を求めて、社会や政治への働きかけもした。

山本直英は性教育の核心として、3つの実を教えればよいとしている。すなわち、真実・事実・現実である。これらを知ることにより、人間の素晴らしさ、醜さを知り感じ、おとなの価値観や主観の押し付けではなく、自分たちの価値観を培っていかれる。

性教育に、生殖の性だけでなく、快楽の視点を取り入れるべきとの主張もした。人間の性が生殖の性という観点でコントロールされる政策に役立つことが無いように、生殖の性も個人の選択の自由だという人権を守る視点で取り組むためにも、快楽の視点が大事になるとの主張。

具体的な取り組みの特徴として以下を取り上げた。

  『性交 なぜ教えるか どう教えるか』出版(’93)。性交を避けていては、性教育はできない。まだ語  ることができない教師から語ることができる教師へ進むべき。

 ・ 現場主義。書物で学ぶだけでなく、現場に足を運ぶ。性教育海外ツアーの実施(北欧への旅。アメ  リカエイズリサーチツアー。ハワイ大学性教育講座など)

  『性と生の教育』編集長−実践報告を載せる(小・中・高・障碍児)

  アジア性教育会議の立上げ(中国性教育関係者との連携)

 

3 DVD上映とインタビュー

 731部隊の元少年隊員篠塚良雄さんと訪ねた731部隊跡地見学と、篠塚さんの現地での証言を収めた、研究所作成のDVD『前事不忘 後事之師』を鑑賞。

 数回にわたって戦跡を訪ね、現地での篠塚さんの証言を記録したDVDを見ることで、日本の加害について改めて考えさせられた。

 DVDは、1枚千円程度で頒布できるよう準備中。

 

参加者の感想

 中国では、周恩来の「憎しみを憎しみで返さない」との考えがある。撫順戦犯管理所での日本人戦犯への扱いがこれに基づいていた。戦争はつらいものと伝えるだけでなく、今日に繋がる問題としての提起が必要では。どう伝えるかが大事だと思う。

 日本人の残虐さを思う。731部隊に関わった軍医たちのなかで、ミドリ十字を造って、のうのうと生きているのだから。

 DVDを見て、戦争を伝える大事さを改めて感じた。拷問の酷さにはショックを受けた。

 私は15歳で満州に渡り、18歳で関東軍に入隊した。昭和20年6月に中国のイランという町へ進軍した。その時は分からなかったが、進軍の理由は731部隊の守備だった。捕虜としてシベリアへ送られるとき731部隊の存在を初めて知った。昭和30年頃に罪状をやっと知った。500人くらいの軍医が日本の中枢に入った。戦争の加害者は戦後も引きずっている。帝京大の安部氏はエイズ関連でたまたま表に出てきた。

 安部氏は薬害に関与していた。カクテル療法が無かった当時は、患者はバタバタ死んでいった。エイズ教育が騒がれたが、今はエイズ教育はされていない。

 戦争遂行に学校も取り込まれてしまった。戦後の教育は分割する方向で動いてきたが、複合化の方向も考えねばならないのでは。学校教育だけでは無理ではないか。地域の中での教育が失われたが、それを復活させることも大事ではないか。

 


 

"学習会"報告

                                                    2013年3月27日

「子どもはおとなの鏡」  

                   提案:金子由美子(研究所所長代行)                         

    

 昨秋のセミナーに続く「今の現場の子どもたち」の問題点が提起された。

 「性的いじめ」と言う「新語」を作る必要に迫られる、ネット社会での新しい「いじめ」の実態や、子どもの現状の背景には親の変化があること。それらの実例が次々出された。 

 参加者には「懇談室」のメンバーが多かったので、「現場」を離れてから時間の経っている方が多く、変化した実例を受け止めるのが精一杯という様子が見られた。 

 時間が足りなかったため、実例と背景は出されたが、それに対して何をすべきか、何ができるかについての論議が不充分になったのは残念だった。次回の学習会では、それが深められることを期待したい。

  学習会の概要を以下のようにまとめた。

● 言葉の大切さ。状況を表すには言葉が必要である。  

  例として「セクハラ」と「ストーカー」が上げられた。  

  セクハラという言葉が無かったときには、被害にあっても説明ができないし、被害が無かったことにされてしまっていた。「セクハラ」という言葉ができて、「あれはセクハラなのだ」と認識できるようになった。

  ストーカーも同様のことが言える。

● 「性的いじめ」という「新語」を作ることにより、今のいじめの現実が認識できる。

  最近の「性的いじめ」の例には、携帯・スマホを利用したものが増加している。

・ 交際が始まったことを伝えようと友人に送った「キス写真」を見て、同じ相手に好意を持っていた友人が、腹いせに「二人はできている」などのコメントを入れて、写真をネットに流してしまう。

・ 携帯の写真合成機能を使い、本人の顔と、全く別人のポルノチックな身体を合成し、本人だと思わせてネットで流す。

・ プロフに載せた情報から個人を特定され、ネットに誹謗・中傷を書き込まれる。

・ 携帯による性産業への取り込みも広がっている。

  ホストが言葉巧みに中・高生に取り入り、自分だけがホストの「彼女」と思い込ませて、何人もの中・高生に貢がせる。

・ スクール水着などをネットで販売する。

● 学校がかかえている問題

 ・ 親の貧困が広がっている。

  地域によっては、父親の欄が空白になっている、シングルマザーが増えていて、生徒の4割くらいにのぼる場合もある。母親の50パーセント近くがパートで、年収は160万ほどしかない。学力が低いが塾にも行かせられない。今は塾に行かせられないと必然的に学力が低くなってしまう。

・ 親に問題がある子どもの割合が増えている。

  挨拶を教えられない親。身だしなみを整えさせられない親。パチンコ依存症の親。など。

  パチンコ依存症の親は給食費は未払いだし、家にあるものをみな金に代えてパチンコにつぎ込んでしまう。

・ すべてが「成果主義」になっている学校の現状。

  教員間の連携が取れず、孤立化し、鬱状態になって退職する若い教員の増加。

  中間管理職もオーバーワークから鬱になってしまう例の増加。

  今の現場では1割くらいは臨採の教員が占めていて、教員が不安定な雇用状況に置かれている。学級定数の調節役として、臨採の教員が使われる。

  思春期学を受講していない教員が、カウンセリングを担当しなくてはならない現状。

・ 不登校・引きこもりの子をNPOが見ている現状もある。行政は金を出さないので、学生ボランティアが学習指導にあたっている状況がある。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

● 子どもがかかえている問題

・  重度の障害児が一般学校に入ってくるが、教師は指導しきれない。

・  学習障害の子どもで、向精神薬を投与されてハイになってしまい、問題を起す例がある。

   世間を震撼させている少年事件を起した子については、発達障害の疑いについての検証が始まっている。

 発達障害をかかえている子がイライラで暴力を振るう例もある。

 愛着障害の子は、相手との距離感が取れないため、異常に接近してしまう場合もある。

 場面緘黙の子も増加している。友達と遊ぶ経験が少ない子に多い感じがする。

 教育虐待もある。勉強させすぎ、親がレールを敷きすぎなど。その場合、親自身も地域で孤立している現状がある。

・  性的虐待を受ける子。シングルマザーでは育てきれず、愛人と同居する例の中に、愛人からの性的虐待を受ける子がいる。その場合は「性化行動」が見られる。見極め行動として、膝に乗ったり、相手のジャージを借りたりして「どこまでを許すか。手を出さないか」を見極める。

  家に居たくない、居られない子が、渋谷などの繁華街にたむろすることになる。

・ 以前は地域で能力の低い子を育てることができたが、今はシステムも教育力も無くなり、すべてが学校に任されている。

 

● 子どもへの支援

・ 学習支援。

  障害のため、学習に遅れが出る場合に、具体的な支援をすれば乗り越えられることも多い。例えば、コンパスが使えない場合に、輪ゴムを巻いてやる。読み取りが苦手で、読み飛ばしや読み間違えの多い場合は、他の行を隠す定規や下敷きを工夫する。など。

・ 生きるスキルを高める支援。

  挨拶ができるようにする。身だしなみを整えさせる。言葉遣いや態度を直す。自分の特徴を説明できるようにカミングアウトする。など。

・ 子どもの誤った行動の目的を知る。

  子どもは、人の注目を集めるためや、自分が強いことを示すため、何らかの仕返しをするため、自分の無力さを示すため、などの理由で誤った行動をすることがある。行動の原因を探るのではなく、問題行動の理解が必要。 (文責 岩淵成子)