"人間と性"懇談室7月例会 感想と報告
2012年7月27日
『セックスボランティアの現状とこれから〜河合香織著作を読んで』
報告者:桂木詩織
★ 例会概要と感想
私がセックスボランティアという言葉を初めて聞いたのは、この懇談室の食事会のときでした。もう3年くらい前になるでしょうか。その時の印象は、「ええ!そんなボンティアがこの世に存在するの」という大らかな反応でした。
報告者から「実際にこのボランティアを頼まれたら介助できますか」との問いに「イエス」と答えた人は誰もいなかった。面識、情愛もなく特異な環境下で性的介助は確かに障壁が高すぎます。
性教育がきちんとしている欧米諸国ならいざ知らず、性教育もままならぬ性知識も偏っいる日本で、こういうボランティアがメジャーになるのは、まだまだ時間が必要だと思われます。
以下に主だった意見を列記します。
・オランダに行ったときツアーに二人ほどガイドとして来たおばさんみたいな人からSVについ て話を聞いたことがある。メンバーは増えないしやってゆけないので、有料化した。セックス ワーカーに払う代金は高いし、セックスしたくない男性も中にはいる。
★ 例会レジメ
セックスボランティアの現状とこれから (河合香織 著 セックスボランティアを読んで) 桂木詩織
セックスボランティア(略してSV)とは身体に障害があり性欲があっても自分で処理 出来ない人の為に性的介助をする事である。
面識、情愛もない特異な環境の中での性的介助は、障壁が高すぎて私には出来ないと思う反面…行為中酸素ボンベを外し命がけで介助を受けた男性が〔性は生きる根本、止める訳にはいかない〕と息を切らし、文字盤に訴える姿が脳裏に浮かぶ…
また『体を提供しても良いと言う女性がいたらどうしますか』のネット記載には『一度だけであれば、知らずに死んでしまった方がいいのかも知れない』や『介助を受ける事は最大の屈辱だから我慢している』が大半だとも。
オランダでは、障害者へ性的介助を有料で派遣する財団や要望があれば、性具の準備までしてくれる施設もあり、性へのおおらかさや独特なヒューマニズムがある。 日本のSV活動は障害者、介助者、行政の意識革命が必要なのか? 話し合いたい。
SV(以下セックスボランティアの略)の現状
:福祉士の男性が施設内の男性に自慰の手助けをしたり、別の男性を風俗店に送迎したりもする。
:パソコンの掲示板から応募したSVの女性が男性身障者の施設内のゲストルームで介助する。
:福祉士の男性が希望者の女性に無償で介助する。
:身障者の夫婦を女性がホテルへの送迎して、2人をベッドに載せハグなどのスキンシップの手助け
をする。 等々
しかしSVは 長続きしないのが現状のようである。 その理由とは?
:SVを希望する人も、しても良いと申し出る人も男性が大半で、人材が足りず活動事態が円滑に機能
していない。
:特に女性が介助する場合、身障者との間に 感情的ずれが生じる。(仕事と恋愛感情の割り切り方
の相違)
:SVの仕事に対する周りの無理解からセックス好きな変人だと誤解される事が多い。また男性の女性
身障者への無償介助は男性も快楽を得る場合も多いので両者の関係性が曖昧になりボランティア
と言えない面も噴出する …等々
私見になりますが感情移入出来ない性的介助は 仕事と割り切る事が難しい…と思えてなりません。
尚、ボランティアによらない方法として、障害者専門風俗店に送迎付きで予約したり出張ホストを呼ぶ人もあるが、金銭的負担はかなり高額で誰もが簡単に利用出来ないのが現状。
日本では性の話題を持ち出す事すらタブー視され、ましてや障害者の性は無知に近い程、理解されていないのが実情である。
ワークショップ東京代表の(2004年)Aさん(骨形成不全症)は、出産をしたが養護学校の校長に『身障者には性欲がないと思っていたが子供が出来る人がいるんですね』と言われがっかりした経験がある。〔身障者の性を語るには、その周囲にいる人達が自分自身の性を見つめて欲しい!周囲の人達の性の捉え方そのものが全て身障者の支援に映し出されてしまう!〕と…
これからの支援の方向性
生と性が表裏一体である事を障害者も支援者も認識を強める必要を感じます。それには障害者と健常者が一緒の会場で、日常的な生活〔恋愛 結婚 育児…〕その中にある性との折り合いをどう付けて行くのかを思春期の失敗談、自慰や夫婦生活の工夫など織り交ぜて、構えず話し合えたら、そこから障害者も健常者も自身の性を再認識できるのではないでしょうか?
余談
誰もが性をフランクに話せて否定されなく真摯に受け止めて貰える場…稀有の当会“人間と性”懇談室のような場から“すてきな性 ゆたかな生”のヒントが埋まっているかも知れません。
話す事は、心の解放に繋がり新たな自分発見が出来るし、人の話しを聞く事で博識にもなれるし理解力が向上します。