"人間と性"懇談室1月例会 感想と報告
2016年1月27日
『
あなたは「フェティシズム」を性的逸脱と見ますか
』
話題提供:参加者
● 参加者意見交換
例会資料の説明後、参加者がそれぞれの考えを述べ合った。
- フェティシズムは、代替性交の一種ではないか。浴槽の隅に性器をつける男子もいる。女性との性交経験で修正される可能性があるのではないか。今の草食男子にもつながることではないか。フェティシズムと自慰の結び付きとは別ではないか。
- 代替えによって性的欲求が満たされるかどうか。代替え性とすれば治るかも知れない。
- 変か変でないかは、人間の互換性の問題であり、不変的性とは違うと思う。見る、触る、嗅ぐなどによって満足するのでは。一ヶ所だけの満足は偏っていると思う。
- 男は外からの刺激で発情・欲情し易いが、女も他の方法がなければ代替え性を取るのではないか。女が男の手や後ろ姿に惹かれることがある。仕草や表情に惹かれることもあるのではないか。
- デブがいい、ヤセがいいというのは好みの問題で、病的な場合にフェティシズムになるのではないか。
- フェティシズムは事物崇拝から来ていると思う。性だけでなく、ひとつのことに執着する。性的なものに執着し、盲目的崇拝から来ていると思う。
- 代替え性との境はどこにあるのか。中年になってもとれないのはフェティシズムで、若い場合は代替えではないか。
- 人間のコミュニケーションの始まりに性がある。自分の恥を相手に見せず、自分自身で満足する。つまり、女に対する性的欲求を見せず、モノに託せば傷つかない。これの前提としては、抑圧があると思う。
- 自分が追い込まれている。それしか満足できない。この背景には性に対する抑圧があると思う。おおらかな性の時代にはなかったかも。
- 性器に集約されていた時代から、女の性感は全身との提示が医学的にされて、人間の身体全体への関心ができた。一部しか関心持たないのは良くないのでは。
- 突然ITが発展して、子どもが孤独になってきている。家族の中で子どもが自然に育っていない。興味の対象がセックスだけではなくなっていたり、バーチャルに興味を持った子が出ている。代替え性の問題では将来危険なものになると思う。
- バーチャルが視覚的なことで満足するのは、フェティシズムとして許されるとすれば、その先には殺人もあることを考えておくことが大事。
- フェティシズムがバーチャルならば、個人的にはありかも知れないと思うが、理解はできない。
- フェティシズムが国家、民族、時代、宗教で異なっている。イスラム教とキリスト教では、全く違うなど、文化性によって異なる。
- フェティシズムが頭の中で作ったのか、肉体的なものか。文化の状況に依存しながら変わっていく。それぞれの中には、フェティシズムがある。生命に関わらねば、異常とは言えないと思う。
- 高校生が異性の下着を用いて自慰するのは特別ではないと思うが、そうしないと満足できなくなることは問題。境界の逸脱を含めると危険。
- 人権内での逸脱は許容範囲内だが、生命に関しては規制が必要。コントロールできればいいが、できない場合は犯罪性が出てくる。
- 現代はフェティシズムにのめり込む人間が増えている。いじめの限界が不明で、死に至ることが増加傾向にある。
- コミュニティの中に存在し、そこに収まっていれば逸脱ではないと思う。コミュニティが個人に一定の制約をかすなかで、フェティシズムが出てきた。性への罪悪感がフェティシズムにつながっていく。
- 禁忌が高くなると気になるが、そうでなければフェティシズムなど起こりえない。文化や民族によってフェティシズムに違いがある。
- フェティシズムは男に多いとの決めつけがあるように思える。性の境界が無くなっている今は、女にもフェティシズムが出てくる可能性があるのでは。
- 自分の感覚にないものだから難しい。嫌悪感を持つか許容するかなど。フェティシズムへの理解が薄いから。
- フェティシズムのあること自体が逸脱とは言えないと思う。それが止まらない。エスカレートする。固執する。それ以外を排除するなどがあった時に、逸脱となるのではないか。
- 人間の生命は健康でないと、成立できないのではないか。
- 人類としての循環が成立しない。人間と全ての生き物がどう動いていくのかを見なくてはならない。
- 人間は科学の肥大化により、人類が滅びるのではないか。人類の存続を考える科学もあるが。
- 現代の精神構造として、結婚、生殖、子どもという図が崩れている。子どもを産むシステムから外れている。自由・人権との兼ね合いがどうなるのか。
- 家族という経済の単位が崩れてきている。労働力の再生産の場が崩壊している。経済的原因がある。
- セックスは個人で完結はできないはずだが、性を生殖から切り離した時には、個人での完結もある。
- 性を文化としてみれば、精神生活を潤す要素の一つで、一部になっていれば異常ではないと思う。
- 正常と異常との区別は困難ではないか。
● 例会資料
フェティシズムは性の逸脱か
● フェティシズムとは― フランスの心理学者ピネーが名付けた。生命のない物体と人体の一部に強い 性的関心を持つこと。
脳が大きくなった人間だけが持ちうる幻想だから、色々なモノが対象となる。
仮性フェティスト― 男性が女性の身体の一部に魅力を覚える。これは当然のこと。
真性フェティスト― 相手の人間にではなく、モノや身体の一部に性的な強迫観念を持っている。
- 関心の対象例― 毛髪 足 靴 下着 革製の服 ハンカチ
- 性的欲求の解消方法― 性行為ではなく、空想やイマジネーションによる。肉体結合を避ける傾向すらある。肉体結合のない行為のため、最も安全とも言える。
- 安全対象を選ぶ原因
幼児体験―心理的発達が歪んだ時、性欲に対する罪悪感や嫌悪感を持ち、心の葛藤が強い時に、対象を安全なものに求めると考えられている。
● 新たなフェティシズム― バーチャルセックスは、二次元の中にどっぷりつかって生身の人間を疎にして成長した今の若者には、自分ひとりの世界で行うことの可能な新たなフェティシズムと言える。
☆ 他の性的逸脱と言われている行為
・ サディズム マゾヒズム
・ 露出症