"人間と性"懇談室6月例会 感想と報告
2015年6月24日
『最近の性にまつわる動向を語る
―「同性婚」「東京レインボープライド」を糸口として ―』(フリートーク)
話題提供:参加者
★ 話し合い
資料・メモに基づき、話し合いが進められた。
● LGBTの概念と、それぞれの有り様・現状についての意見交換
レズビアンとゲイの総称として、ホモセクシャルという括りがある。ホモセクシャルは、差別的な意味は含まないが、ホモは差別的意味を含む言い方になる。かつて、ジャパニーズをジャップと言って、日本人に対する差別語として使われたと同様。
トランスジェンダーには、FTMの人とMTFの人が存在する。性自認が認められれば満足する人から、手術をしないと満足できない人まで、幅がある。
LGBT以外にも、インターセックスやアセクシュアルの人なども存在する。
- インターセックスの人は、男女のどちらに決定するのか?
- 日本の場合、生まれてまもなく手術をしてどちらかに決めていた。しかし、当事者は、思春期以降に、本人の意思で男女どちらかとか、どちらでもないとか決めさせてほしいと言っている。
- アセクシュアルは、どういう状態なのか?
- I likeと I loveの違いでは。好ましく思っても、性交渉を含む性的感情は持てない。Loveにも、プラトニックラブのように性的感情がない場合もあるかもしれないが。
- LGBTは、人口の2〜10%の割合で存在していると言われている。
- 電通総研の調べによると、だいたい5%くらい、とネットには出ていた。
- 1億の人口だと、500万から1000万の人になる。すごいことだと思う。周りには居ないと思っているが、そんなに珍しいことではないのだ。
- 東京では、はとバスのツアーがある。六本木や新宿を廻って、舞台でのショーを見たり、性を超えた遊び方ができることで人気がある。
- ゲイの人と付き合うと、話が面白い。
- ゲイの人と付き合う女性を「おこげ」ということがあった。今も言っているのかどうか分からないが。なぜ付き合うのかの理由は二つ。ひとつはやたらに言い寄られないという安心感。二つ目は、話題が豊富で話が面白い。
- 今の説明で、姪が、新宿2丁目で顔になるほど、足繁く通っている理由が分かった。
姪の結婚式を20年前くらいにやった時、二次会にゲイの人が沢山来てくれた。結婚式に参加する機 会などなかなかないとかで、すごく喜んでいた記憶がある。
- 以前は、硬派、軟派というわけ方があった。今では硬派は堅物くらいの意味しかないが、昔はゲイの意味もあった。文化・風俗としての性のあり方があった。
- 今の日本は、LGBTなどに理解のない「性の後進国」になっているが、歴史的に見れば、江戸時代以前にはおおらかだった。明治憲法がいろいろな人権を認められないものに変えてしまった。性についても同じだと思う。
- 山本宣治や高橋鐵などは、これと命懸けで闘った。今はそういう人が居ない。
- 他人の子どもなら許すが、自分の娘や息子の場合には許さないのが実態。
- ホモセクシャルは、性の左利きだという話を以前聞いて、すごく腑に落ちた。今は、左利きを無理に直したりしないで、そのまま受け入れる。ホモセクシャルも同じだと思う。
- カップルが増えてくると、子どもを持ちたいというカップルも出てくると思う。それはどうするのか。
- レズビアンの場合は、精子提供を受けて自分で生む例がある。ワシントンでホームステイさせてもらったお宅では、お嬢さんが居た。ゲイカップルで、養子を迎える場合もある。
- 子どもを持つことは、当事者の人権の視点では当然かもしれないが、子どもの立場では問題があるのでは。出自を知りたいだろうし、将来、血縁的に非常に近い関係の者同士が出会ってしまう問題も起こりうる。
- 精子提供、体外受精の問題は、不妊治療でもあるはずで、ホモセクシャルだけの問題ではないと思う。両者を同じレベルで考えないで、ホモセクシャルだけを問題にするのは、特別視しているからではないのか。
- なるほど。当事者の人権と、子どもの問題は別に考える必要がありそう。
- 今の若者の4割くらいは、性に関心がない。異性と接するのが面倒だと感じている。
- セックスは、最高のコミュニケーションだと思うが、今の若者は相手に自分をさらけ出せないし、自分が相手を受け入れられない傾向がある。アセクシュアルということではないのに、性に関心がない。
- 青春のときめきを知らずに人生を終わってしまうのかと思うと気の毒な気がする。
● 同性婚挙式に関して
- 同性婚挙式報道で、親にぼかしが入っていたのはおかしいと思う、との発言が先月あったが、親がサラリーマンで、社内でそれなりの地位にあるような場合には、今の日本の状況では、とても顔は出せないと思う。会社に迷惑がかかるとか、自分の立場が揺らぐとかの心配があるのではないか。
- LGBTを公表している有名人がネットに載っているが、歌手とか、作家、芸術家など、組織に縛られない職業の人が多い。そうでなければ、首相とか、市長のような確たる要職にある人。
- 確かに組織内の人間は公表が難しいと思う。受け入れられないのが実情だろう。
- ゲイの世界でも、世代間の違いがはっきりあるらしい。第一世代の人と、今の20代の人では、話がかみ合わないくらい違っているようだ。社会の理解が進んだことと関係していると思う。
- 渋谷区の条例も、不備はたくさんあるようだが、とにかく一歩は踏み出したという意義は大きいと思う。トランスジェンダーに関しても、法律ができた当初は、手術が可能になっただけだったが、その後、戸籍を変えられるとか、家族の問題とか、少しずつ前進している。パートナー証明も今後前進していくと思う。
★ 資料
最近の性にまつわる動向を語る
● 言葉のイメージを共通にするために
1. LGBT(セクシュアルマイノリティ)
L― レズビアンの頭文字 女性同性愛者 性的指向が同性に向かう。
G― ゲイの頭文字 男性同性愛者 同上
B― バイセクシュアル 男女両性愛者 性的指向が両性に向かう
T― トランスジェンダー 生物学的性と性自認が異なっている人
性自認が認められれば良しとする人から、手術を考える人まで幅がある。
2. LGBTとは、性のことで社会的な抑圧を受けている人々の総称。
セクシュアルマイノリティとも言われる。LGBT以外にも、インターセックス、アセクシュアルなどの人もいる。
LGBTは、生まれつき決まっている。本人の趣味・嗜好の問題ではない。
LGBTは、人口の2〜10%の割合で存在していると言われている。
● 渋谷区の条例
「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」
目 次
前文
第1章 総則(第1 条ー第8条)
第2章 男女平等と多様性を尊重する社会の推進に関する施策(第9条ー第13 条)
第3章 男女平等と多様性を尊重する社会の推進に関する体制(第14 条・第15 条)
・ 第10条 区長は、第4 条に規定する理念に基づき、公序良俗に反しない限りにおいて、パートナーシップに関する証明(以下「パートナーシップ証明」という。)をすることができる。
○ 渋谷区条例に関する賛否
地方自治体が証明書を発行することの意味は大きく画期的。
横浜市、世田谷区、宝塚市など、他の自治会にも広がりが出ている。
直ちに同性婚にはつながらない。法的効果はない。
同性パートナーと子どもの保障は何も書かれていない。
● 同性婚 挙式
4/19 タレント一ノ瀬文香さんと、女優杉森茜さんの結婚式が行われた。
5/25 フジテレビで挙式の模様や、家族の感想などが放映された。
● 最近の世界のトピックから
1 アイルランド国民投票「同性婚合法化可決」
カトリック国アイルランドで、60%強の賛成で可決された。バチカンは、教義と現実の狭間で苦慮 している。
・ 同性婚を認めている国・地域
オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アイスランド、アルゼンチン、カナダ、米国のマサチューセッツ州、カリフォルニア州、コネチカット州、アイオワ州、バーモント州、メイン州、ニューハンプシャー州、ワシントンD.C. 南アフリカ
・ パートナーシップ法(異性カップルに準じる権利を認める制度)を認めている国・地域
デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、グリーンランド、フランス、ドイツ、フィンランド、イギリス、ルクセンブルク、イタリア、アンドラ、スロベニア、スイス、チェコ共和国、アイルランド、米国のハワイ州、バーモント州、カリフォルニア州、ニュージャージー州、メーン州、コネチカット州、ブラジル、メキシコのメキシコシティ、メキシコのコアウイラ州、ウルグアイ、ニュージーランド、オーストラリアのタスマニア州、オーストラリア首都特別地域
・ 同性カップルの権利を保障する国・地域
イスラエル、ハンガリー、オーストリア、クロアチア
・ 現在、法案を検討中か議論が始まっている国
リヒテンシュタイン、エストニア、中華民国(台湾)、中華人民共和国、カンボジア
2 同性婚公表
- ルクセンブルク首相が同性婚公表。首相の同性婚は、アイスランド首相につぎ2人目
- ホモセクシャル公表の著名人
・ゲイ― ティム・クック(アップルCEO) エルトン・ジョン(歌手) イブ・サンローラン オスカー・ワイルド 伊藤悟 美輪明宏 米良美一
・レズビアン― ジョディ・フォスター(女優) ヨハンナ・シグルザルドッティル(アイスランド首相) マドンナ(B) 吉屋信子 佐良直美 壇蜜(B)