"人間と性"懇談室9月例会 感想と報告

                                                    2015年9月24日

    『あなたにとって家族とは― 私の息子はどうなるの―  

                   話題提供:渡辺小百合

 

★ 報告後の意見交換・話し合い

 

 話題提供者の40歳すぎの「引きこもり」次男の生育歴、引きこもりの推測原因、回復への取り組み、今後の見通しなどが報告されたあと、参加者の感想、意見の交換があった。

 

 アメリカ人の社会学者デイビッド・リースマンは「孤独な群集」(加藤秀俊訳 1964年 みすず書房)で、親子の関係を社会構造と人間の性格類型から、出生率との関連も含めて次の三つに分類(要約)しました。

1:高度成長潜在的・伝統思考型

  この社会は高い死亡率を高い出生率で支える発展途上社会です。循環する飢餓と悪疫から逃れるために、間引きや組織的な動乱が起こる。

  この社会では集団の同調性が軸となり、伝統的な行動様式に沿った厳格な規則が支配する。習慣、儀礼、宗教も用意されている。個性の不要な服従の社会,いわば子供が親の顔色をうかがう社会である。

2:過渡的成長・内部思考

  この社会は死亡率が出生率より低下し、人口が増加する社会。農業技術の改良で、より多くを養うことができる。食料に限らず、交通、政治など様々な問題解決が,技術的に習熟している。

  親や年長者による教育が個人に目標を持たせる。実体験を通じて学んだ方向ずけに依って人間が個性化し,伝統は変動に適応するしなやかさを持つ。

 いわば親達との戦いの社会といえよう。

3:初期的人口減退・他人思考

  この社会は出生率が低下し、人口が減少する社会。物質生活は豊かになり、マスメディアを通じて言葉やイメージが消費される。情報化が進み、個人の方向ずけは疑似体験を通じて学習される。核家族化は家庭の役割りを希薄にする。ここでは家族よりも、それぞれの帰属する年齢層や社会層の仲間の方が重要になる。親達も放任的に成らざるをえず、いわば子供が親をあやつり、親が言いなりになる社会である。