"人間と性"懇談室10月例会 感想と報告
2015年10月19日
『あなたにとって家族とは パート2―
結婚しない娘や息子 ―』
話題提供:参加者
初めに「結婚観」の推移統計(1993年と2013年の比較)、「配偶関係別数」の統計(1995年と2010年の比較)が提示され、結婚観についてと、配偶関係の推移を、統計面から解説された。
男女ともに、年齢が高くなると、結婚はするのが当然との結果が出されている。男女では、女性の方が年齢によっての変化が大きい。結婚しなくて良いとの考えが、75歳以上では20年間で2倍にも増えていないのに、70歳から50歳では2、5倍ほども増えている。
30歳以下では、男女とも70パーセントが結婚しなくて良いとの結果が出ていて、20年間での変化は少ない。
● 参加者の意見交流
- 松坂慶子の出演している、ベトナムを舞台にした映画(「ベトナムの風」)がある。ベトナムは儒教の影響が強く、老人を大切にする文化がまだある。宗教的背景もあるのではないか。
- 社会主義体制の中では、儒教の影響を出したくないのかもしれない。しかし、最近は宗教が問題となった戦争が増えている現実もある。
- ファミリーは、ラテン語のファミリアから来ていて、財産とか、お金、土地の意味である。奴隷の数を言う場合もある。家族の数も多い。日本も大家族だったが、戦後核家族化が進んだ。
- 子を産むか生まないかは、財産をどうするかの問題から生じる。自分の金をどうするかから一夫一婦制ができた。今結婚できないのは、お金の問題が大きい。名門の子どもは家についていれば、お金に困らないから結婚できる。
- 天皇中心の軍国主義の大家族が戦前の姿。個人的には結婚は自由で、結婚しなくてもいいと思うが、国家的には結婚しないと国が絶えてしまうことになる。生物の多様性を守る努力をしているが、人間はどうなのか。個人的な結婚の自由とは違っている。子を産む産まないは、個人の自由であるかもしれないが、人間には子を生まない自由はないはず。
- 結婚が家の問題となる場合、家は男が継ぐことになり女ばかりだと断絶してしまう。
- 夫婦は家庭内離婚状態でも、子どもが嫁に行くまでは、子どものために離婚しない。儒教的な考え方で、祖先からの複数の家族の力を考える。封建的かもしれないが。
- 時代の変化をつかみきれていない高齢者は、明治・大正の考え方が染み付いている。豊かさが無駄に使われている。先月の資料にあった文明と文化についての考え方。「子が親の顔色を伺う時代」、「言い合いする親子の時代」、「親が子の言いなりになる社会の時代」は、なるほどと思う。高齢者はお手本による思考回路ができている。
- シールズの集会には、若者だけでなく、多国籍、中・高年と多様な人々が参加していた。今では二世帯で住んでいても、家族は別々。
- 個々が大事にされることが大事。思想・信条の違いを超えて、繋がり合う関係ができている。
- 子どもは結婚してほしいと思っている。明治・大正の親たちがお手本になっているのかもしれない。人は一人ひとり自分流に生きていくのが良いと思うが。
- 人類の歴史は、性を基に結びつき、今日に至っている。人と人がつながるのが性で、性は結婚と同一ではない。明治・大正期は家の継続が結婚によってなされていた。種の保存としての性をどう考えるか。国家のためではなく、種の保存の為の性。
- 生命史を考えると、区別して排除することは無意味。性が分かれたのは1億年ほど前からで、太陽系の発生からすれば歴史は浅い。コミュニティの始まりは性。群―集団―社会と進んできた。
- 今は、その人が幸せなら何でもいいのでは。性的マイノリティでも幸せに生きられることが大事。
- 愛し合っていれば結婚しなくてもセックス可とする考え方が80パーセントほどになっている。愛する―結婚―子ども は、一直線論理。遊びでセックスするも可の考えも広がっている。結婚しても負担が増えるだけとの考えもある。
- 個人的には、孫の居る友人に嫉妬する。子の老後はどうなるのか。独り身になったときどうするのかと考えてしまう。
- 最も家庭的でない人間だったが、結婚して家族ができた。安定した生活を望んだのではなかったが、今日に至っている。親子関係ではなく、自分と彼、彼女の関係。妻ではなく一人の人間として付き合うことで今日があると思う。
- 昔は、子は労働力であり、親を養育する存在だったが、今は子どもに期待できない時代。子に期待しないで、自分で始末しようとする。老後も家に居て子どもが面倒見る。施設に預ける。どちらが幸せかは決められない。
- 社会的な援助の仕方で、施設入所があるが、施設は命を短くする場合もある。介護は短命になる方向で動いていることもある。入所3年で逝ってしまう施設と、入所により元気になる施設がある。地域のあり方を変える必要もある。
- コミュニティが崩壊している今どうするのか。新しいコミュニティを作る必要がある。
- 社会のひずみのなかでの結婚の問題を考える必要がある。