"人間と性"懇談室4月例会 感想と報告
2014年4月23日
「木嶋佳苗と男たち」
話題提供:青木 清
★ 話題提供者レジメ要約
連続練炭殺人事件の容疑者で、援助交際・婚活詐欺を繰り返し、定職を持たずにリッチな生活をしていた木嶋被告。
被害者の一人大出さんとは、結婚マッチングサイトで知り合い、メール上では結婚を前提とする交際を望み、学生生活を応援してくれる人を希望すると書いていた。実際、菓子作りの学校で学び、腕前はなかなかのものだったらしい。
端麗とは言えない容姿で男を騙したとして話題になったが、傍聴者の感想では、雰囲気は上品でしぐさも優雅。表情がやさしく、声が甘い。
被告は、男を虜にするテクニックをいろいろ持っていたようだ。ブログを作っていて、メールや電話をマメに送っていた。料理や身の回りの世話など、性だけでなくケアが付いていることも虜にする要素。
最初からセックスはOKで、子どもができてもよいと考えていた。男にとっては美人でないことも警戒心を持たない理由となる。金が絡んでも別れない。別れても騙されたとの感は無い。被告は「男たちは満足して死んだ」としている。
同時に複数の男と付き合うことに意義ありとして、性の変化に対して検事や裁判官は責めるが、被告とは人間観にズレがある。
男に対する憎悪が男を手玉にとって行くようになったのかも知れない。表に出ていることだけでは彼女の体験は不明。なぜそうなったのかの理由は不明。
時代背景を考えると、バブル崩壊の90年代に援助交際が始まった。高校生から20代、30代の女性に広がった。女にかせられていた貞操に変化がでてきた。従来の管理売春ではない売春が現れた。
昔は貧困が売春の原因だったが、90年代以降は貧困が原因ではなくなった。性が金になるとの価値観が生まれた。自分の価値に金をもらうと考える。
★4月例会意見と補足
被告は世間の常識が通じない、常識では理解できない存在。常人の理解を超える存在。性を売ることに対する価値観、倫理観が違っている。悪いことをしたとの意識は無いし、後悔もしていない。良い悪いではなく、そういう人と見るしかない。
殺人と女という二つで裁判は進んでいた。価値観の違いによる犯罪だが、価値観が裁けるのか。殺人が悪いという常識で裁判官はせまったが、彼女は独自の価値観で対抗していた。
男の気持ちはどうだったのか。男としては、被告に惹かれるのは分かる。蛇に呑まれるかえる的気持ちよさだと思う。恐怖の中での快感があるのでは。
一人住まいの男は、家族に対する疎外感があり、やさしくされるとすぐ許してくれると思う。被告は許してくれたから満足して、殺されるまで裏側を知らずにいたのではないか。殺されてもいいと思った男もいたと思う。
被告は女性経験の少ない、女に恵まれない男を選んだ。性を前面には出していないが、OKですもあった。被告との性行為で男は満足してしまう。被告は性的強者である。
金をもらったが、目的ははっきりしていた。支援してくれで、お願いしますとは言わないから詐欺にはならない。
被告には色気がある。新しいアイドルはかわいいが、色気は感じない。昔の女優には色気があったが、今の女優にも色気が無い。被告には美醜を超えた色気があるから、虜になる可能性がある。
貞操を裁くことは可能か。性の価値観が共有されていない今は、価値観の違いで片付けられてしまう。女にだけ貞操を求める価値観の変革になったのか。女性の中に彼女の支持者がいる。
被告にとっては計画的進行の中での殺人。利用できる間は利用して、役に立たなくなったら捨てる。きわめて科学的。
自分のついた嘘を本当だと思い込んでしまう性格の人がいる。非行少年にあるひとつのタイプ。被告もそうなのかもしれない。
被告には父親に対する憎悪やコンプレックスがあったのかもしれない。母親への反発はどうか。妹たちへのコンプレックスはないのか。生い立ちから被告の人となりを知ることが困難である。
被告の犯罪は新しい時代の犯罪であることは間違いないと思う。魔性の女としているが、被告が当てはまるかどうか。将来的にはどうか。男に支配されない女の誕生であることは間違いないと思う。
人間は皮膚がツルツルになった。生物学的には説明がつかない。動物には必ず毛がある。性に関する魅力から毛が無くなったのか。性が人間の進歩とどう関わるのか。今後は人類を残す意味が薄れるかもしれない。
★レジメ資料
2014年3月12日、首都圏連続不審死事件で殺人罪などに問われた木嶋佳苗被告(39)の控訴審判決で、東京高裁(八木正一裁判長)は1審の死刑判決を支持し、弁護側の控訴を棄却しました。
木嶋被告がカネと引き換えに男性たちに見せた夢とはどんなものだったのか。
検察側の指摘では、大出さんは09年7月13日、世界最大級の結婚マッチングサイト「マッチ・ドットコム」で木嶋被告と知り合った。大出さんはこんな自己紹介をしていたという。
〈いわゆる勝ち組企業に勤めています。いずれ家でも買おうかなと。女性は地味でもいい。家庭的な女性がいいかな〉
対する木嶋被告は、
〈おいしい手作り料理で愛情を伝えたいです。スキンシップを大切にして末永く心から愛し合って尊敬できる伴侶を探しています〉
〈四人兄弟の長女です。本当に運命の人に出会えたら、電撃的な結婚もあると思っています。遊び友達や、長く付き合える彼女をお探しの方はご遠慮下さい〉
大出さんが被告に好意を示すメールを送ると、木嶋被告は、
〈私は学生です。結婚を前提にお付き合いできる方を探しています。学生生活を応援してくれる人を希望しています〉
▼なぜ騙される…端麗とは言えない容姿で“魔性の女”と話題に
写真写りは悪すぎるんですが、実際に雰囲気は上品だし仕草も優雅で、感じが良い人なんですよ。出・退廷で女性刑務官が手錠を掛けるとき、佳苗はニッコリ笑いながら両手首を合わせをながら差し出すんですよ。そのときの表情がなんとも優しい。しかも声が甘い。全てがあえぎ声に聞こえるぐらいに甘い(笑)。
佳苗被告は男性とのやりとりもメールと電話でした。あの声で電話が掛かってきたら、男性は想像を膨らませるのは仕方ないですよ。会うまで三日間ぐらいの間で10通ぐらいメールしていた男性がいましたが、文面からすごく盛り上がっているのがわかった。会ったときにはもう、佳苗の容姿は5割り増しに見えたでしょうね。
一流企業の役員や医師、弁護士など高収入の男性とデートしたりするほか、「ホテルでエッチすることも」。客から「今までセックスしたなかで、あなたほどすごい女性はいない」と絶賛されたことを上品な語り口で自慢したのである。弁護人「セックスして褒められました?」
木嶋被告「はい。うーん、具体的には…テクニックよりも本来持っている“機能”が高い、と…」
なんと、自ら“名器”であることも披露。弁護人から「他の男性とセックスして裏切りになるとは?」と尋ねられると、「私はそういう価値観を持っていません」と、堂々のヤリマン宣言まで飛び出したのである。
〈私は外見には自信はありませんが、今まで真面目に生きてきたということに関しては自信はあります。内面は磨いてきました。仕事も勉強も一生懸命です。男性なら誰でもいいとは思っていません〉
松戸市の70歳男性不審死事件
2007年8月、千葉県松戸市の自営業の男性(当時70歳)が自宅の風呂場で死亡。死因不明。
木嶋に貢いだ金額は約7400万円。
青梅市の53歳男性A不審死事件(起訴事案)
2009年1月30日から1月31日に東京都青梅市の会社員男性A(当時53歳)が死亡し、2月4日に発見。死因は一酸化中毒死。
死亡直前にAの銀行口座から木嶋の銀行口座に計1700万円を振り込まれていた。
野田市の80歳男性B不審死事件(起訴事案)
同年5月15日に千葉県野田市の男性B(当時80歳)が自宅で死亡。B宅から出火して全焼。遺体近くの和室で練炭数個を置かれて、死因は一酸化炭素中毒死。
Bの父は著名な画家であり、家にBの絵を盗んで高価な値段で売っていたが、Bは父の絵が無くなったことについて木嶋を疑わず、親族を疑っていた。死亡直後に、木嶋はBの銀行口座から約190万円を引き出した。
千代田区の41歳男性C不審死事件(起訴事案)
同年8月6日に東京都千代田区の会社員男性C(当時41歳)が埼玉県富士見市の駐車場にとめたレンタカー内で死亡。死因は一酸化炭素中毒死。
木嶋はCに対して結婚する気があると装って、約470万円を受け取っていた。
その他
死亡日が不明だが、2件の男性(関東地方在住)の不審死がある。
静岡県の40代男性(詐欺罪)2008年9月から12月にかけて、合計130万円をだまし取ったとして。
長野県の50代男性(詐欺罪)同年10月から12月にかけて、約190万円をだまし取ったとして。
静岡県の40代男性(窃盗罪)女性とホテルで就寝中の2009年1月10日から翌日ごろに、財布から5万円を盗んだとして。
50代男性(詐欺未遂罪)同年7月中旬から下旬にかけて百数十万円をだまし取ろうとしたとして。
東京都の41歳男性(詐欺罪)同年7月24日に四百数十万円をだまし取ったとして。
長野県の50代後半男性(詐欺未遂罪)同年8月に約140万をだまし取ろうとしたとして。
埼玉県の30代後半男性(詐欺未遂罪)同年8月から9月にかけて約70万円を取ろうとしたとして。
詐欺の方法
木嶋は嘘が得意で、騙し取った金で家賃が約22万円もする高級マンションに住み、ベンツを乗り回していたという。また、吉川桜という偽名を用い、「父親は東大教授で、自らはピアノ講師、フードコーディネーターである」と語っていたという。
公判
刑事裁判はさいたま地方裁判所において全訴追事案(殺人3、詐欺・同未遂6、窃盗1)について併合審理となった。
裁判員選任手続が2012年(平成24年)1月5日、初公判が1月10日、判決日が4月13日という裁判員裁判としては、約100日間にわたる長期裁判であった。
3つの殺人事件について、検察が提示した状況証拠は以下の通り。
3殺人事件共通
A殺人事件 2007年8月、千葉県松戸市の自営業の男性(当時70歳)が自宅の風呂場で死亡。死因不明。木嶋佳苗被告に貢いだ金額は約7400万円。
B殺人事件 2009年5月15日に千葉県野田市の安藤健三さん(当時80歳)が自宅で死亡。安藤健三さん宅から出火して全焼。遺体近くの和室で練炭数個を置かれて、死因は一酸化炭素中毒死。
安藤健三さんの父は著名な画家であり、家に安藤健三さんの絵を盗んで高価な値段で売っていたが、安藤健三さんは父の絵が無くなったことについて木嶋佳苗を疑わず、親族を疑っていた。死亡直後に、木嶋佳苗被告は安藤健三さんの銀行口座から約190万円を引き出した。
C殺人事件 2009年(平成21年)8月6日、埼玉県富士見市の月極駐車場内にあった車内において会社員大出嘉之さん(当時41歳)の遺体が発見された。死因は練炭による一酸化炭素中毒であった。
検察側は、論告において、「窓の外には夜空が広がっている。夜が明けると、雪化粧になっている。雪がいつ降ったかを見ていなくても、夜中に降ったと認定できる」との比喩を使い、状況証拠の積み重ねで木嶋の犯行を十分立証できると強調した。
これに対し木嶋及び弁護側は、練炭等は被害者から譲ってくれと頼まれて木嶋が渡したものであり、被害者の死は別れ話が原因の自殺や事故死であったとして殺人罪の無罪を主張した。
さいたま地方裁判所(大熊一之裁判長)は検察側の主張を全面的に認め、木嶋に対し求刑通り死刑を言い渡した。木嶋側は即日控訴した。
第二審の東京高等裁判所も第一審の死刑判決を支持し、2014年3月12日に木嶋側の控訴を棄却する判決を言い渡した。木嶋側はこれを不服として即日上告した。
2009年(平成21年)8月6日、埼玉県富士見市の月極駐車場内にあった車内において会社員大出嘉之さん(当時41歳)の遺体が発見された。死因は練炭による一酸化炭素中毒であったが、自殺にしては不審点が多かったことから警察の捜査が始まった。その結果、住所不定・無職の木嶋佳苗被告(当時34歳)と交際していたことがわかり、捜査していくにつれて木嶋佳苗被告にはほかにも多数の愛人がおり、その愛人の何人かも不審死を遂げていることがわかった。 埼玉県警は木嶋佳苗被告が結婚を装った詐欺をおこなっていたと断定し、9月25日に木嶋佳苗被告を結婚詐欺の容疑で逮捕した。また、逮捕時に同居していた千葉県出身男性から450万円を受け取っていた。
2007年8月、千葉県松戸市の自営業の男性(当時70歳)が自宅の風呂場で死亡。死因不明。
木嶋佳苗被告に貢いだ金額は約7400万円。 2009年1月30日から1月31日に東京都青梅市の会社員寺田隆夫さん(当時53歳)が死亡し、2月4日に発見。死因は一酸化中毒死。
死亡直前に寺田隆夫さんの銀行口座から木嶋佳苗被告の銀行口座に計1700万円を振り込まれていた。 同年5月15日に千葉県野田市の安藤健三さん(当時80歳)が自宅で死亡。安藤健三さん宅から出火して全焼。遺体近くの和室で練炭数個を置かれて、死因は一酸化炭素中毒死。
安藤健三さんの父は著名な画家であり、家に安藤健三さんの絵を盗んで高価な値段で売っていたが、安藤健三さんは父の絵が無くなったことについて木嶋佳苗を疑わず、親族を疑っていた。死亡直後に、木嶋佳苗被告は安藤健三さんの銀行口座から約190万円を引き出した。
その他。死亡日が不明だが、2件の男性(関東地方在住)の不審死がある。死因に関する資料が乏しい中での、極めて異例の殺人罪の立件となった。
木嶋佳苗 北海道生まれ 弟1人と妹が3人の長女 祖父:町議会議長を三期つとめた司法書士
祖母:元町長の妹。現在も健在。母親:ピアノ講師。父親:大学職員、行政書士。
父親は2005年自動車事故で崖に転落し死亡(自殺との噂)
子供の時からピアノを習い地元のコンクールにも出場するほどの腕前勉強もできたという
北海道:別海高校卒業後18歳の時東京上京東洋大学中退
ピアノ講師、訪問ヘルパーにつく。インターネット詐欺での被逮捕暦がある。
2009年(平成21年)8月6日、埼玉県富士見市の月極駐車場内にあった車内において会社員大出嘉之さん(当時41歳)の遺体が発見された。死因は練炭による一酸化炭素中毒であったが、自殺にしては不審点が多かったことから警察の捜査が始まった。その結果、住所不定・無職の木嶋佳苗被告(当時34歳)と交際していたことがわかり、捜査していくにつれて木嶋佳苗被告にはほかにも多数の愛人がおり、その愛人の何人かも不審死を遂げていることがわかった。
埼玉県警は木嶋佳苗被告が結婚を装った詐欺をおこなっていたと断定し、9月25日に木嶋佳苗被告を結婚詐欺の容疑で逮捕した。また、逮捕時に同居していた千葉県出身男性から450万円を受け取っていた[。
2007年8月、千葉県松戸市の自営業の男性(当時70歳)が自宅の風呂場で死亡。死因不明。
木嶋佳苗被告に貢いだ金額は約7400万円。
2009年1月30日から1月31日に東京都青梅市の会社員寺田隆夫さん(当時53歳)が死亡し、2月4日に発見。死因は一酸化中毒死。
死亡直前に寺田隆夫さんの銀行口座から木嶋佳苗被告の銀行口座に計1700万円が振り込まれていた。
同年5月15日に千葉県野田市の安藤健三さん(当時80歳)が自宅で死亡。安藤健三さん宅から出火して全焼。遺体近くの和室で練炭数個が置かれて、死因は一酸化炭素中毒死。
安藤健三さんの父は著名な画家であり、家に安藤健三さんの絵を盗んで高価な値段で売っていたが、安藤健三さんは父の絵が無くなったことについて木嶋佳苗を疑わず、親族を疑っていた。死亡直後に、木嶋佳苗被告は安 藤健三さんの銀行口座から約190万円を引き出した。
その他。死亡日が不明だが、2件の男性(関東地方在住)の不審死がある。死因に関する資料が乏しい中での、極めて異例の殺人罪の立件となった。