"人間と性"懇談室2月例会 感想と報告
2014年2月28日
「住まいの中の男と女」
話題提供:泉 修二
★ 話題提供者レジメ要約
● 江戸時代の住居
・江戸時代の江戸の庶民は、1840年頃になると、江戸生まれが70%を占めるようになっていた。
- 柿葺きといわれる木造の安普請的な家が、東京の半分ほどを占めていた。3坪ほどの広さに3〜4人が住んでいるのが一般的だった。江戸の町では、地域のすべてを富める人々の住む街とせず、大小の家が入り混じるように作った。それで、日が暮れると人通りが無くなったり、恐ろしいことの起こる通りが作られずにすんだ。
- 武家の住まいは、書院造り、玄関の成立など、接客的対応に主眼を持たれた。この傾向は明治以降の近代にも強い影響力を持った。
● 明治から昭和へ
・ 明治から太平洋戦争期までの、中産階級和風住宅の主流を占めるのが中廊下住宅。接客的性格の住
宅だが、家族の日常の場への変化はあった。家事労働に関しては、たち作業への改革を除いては、
家事への思考は全く欠落していた。・ 大正期になると、モボ・モガや文化鍋、文化住宅などの言
葉が示すように大衆文化の裾野が広がった。谷崎潤一郎『痴人の愛』に出てくる住宅が文化住宅で
ある。
- 昭和後期になると、鉄筋コンクリートの集合住宅の供給が開始され、寝床住居から寝食分離の最小限住宅になった。その後、DKからLDKへと変化していった。
・ 戦後は、戦前の武士住居から、家族中心、家事優先のアメリカ的女性原理住宅へと変遷した。
● 60年代以降の変遷
- 社会変化により、暮らしが変化し、住宅にも大きな変化が現れた。食事室が飾りになった家。リビングの無い家。一人住まい、他人との同居など。
- 家族内空間は、家族維持サービス装置のための空間である。この装置が、社会化と個人化の進行とに、全くかみ合っていないため、家族維持サービス装置の欠陥としか認識されない状況にある。
- 21世紀のこれからは、生活単位の個人化が進み、個人の自立の受け入れ、個人間の多様な関係化を図る住まいが現れるだろう。多様な関係の中には、格差社会を 進行させている政治問題も含まれるだろう。
★1月例会意見と補足
- 男と女の性は、基礎的問題として生物的内容を含む。男女の違いを基にした視点での、男女の関係性を改めて考える必要があるのではないか。進歩とは、動物的生き方からの、人間的生き方への変化である。生き方は住み方に通じる。そして、金が絡んでくる。孤立死、孤独死、置いてきぼりの死などがある。変化が解っていないため、精神科に通う人が増えている。
- 生物学的側面を削っていくと、人類は滅びにむかう。考え直す時期に来ている。
- 性は国家に振り回されている。唯一抵抗していたのが、江戸の街人。