"人間と性"懇談室1月例会 感想と報告

                                                    2014年1月28日

森鴎外の性的側面について  

                   話題提供:Y.H

 

★ 話題提供者レジメ補足

 『ヰタ・セクスアリス』と、鴎外の年表とを重ねると、ほぼそのまま当てはまる。『ヰタ・セクスアリス』

は、彼の自伝と見てよいのではないか。

 鴎外は、身のまわりの材料で小説を書いた。これは漱石とは異なる点である。

 外見は、堅物で面白みの無い軍人であり、家庭人であったが「ヰタ・セクスアリス」や他の小説に記述されなかった3名の女性に、ほとばしるような情熱を持って接したと思われる。

 第1は、初恋の人エリス。彼の一生を賭けた恋の相手だったが、上司や家族の反対で離別させられた。

 第2は、愛人または妾としての児玉せき。彼女は「雁」の「お玉」のモデルと言われている。

 第3は、再婚した妻しげ子。義母や森家の人々とは生涯トラブルがあったが、最も愛した女性と思う。

 鴎外は生涯マザコンであった。母峰子と妻しげ子は対照的な存在であった。

 

1月例会意見と感想

 鴎外は、位人身を極め、得るものはすべて得た。しかし、軍人としての側面と、人間としての側面とで引きさかれた状況におかれた。心はどうだったのであろうか。鴎外は幸せだったのだろうか。

 本当の彼は、コギレイな妾を囲い、わがままで美しい妻をデレデレと愛した好色な「オヤジ」であったのではないか。遺言に「・・何人ノ容カイヲモ許サズ」と言った個人「森林太郎」の大切な部分がこれではなかったのかと思う。

 明治天皇暗殺結社を作ったとして、幸徳秋水が処刑された頃から、国が戦争の方向に向いた。幸徳事件をきっかけに鴎外は歴史小説に方向転換した。

 近代小説は幸徳事件をきっかけに終わってしまい、私小説が中心となっていった。

 例外的に、労働者の過酷な運命を糾弾した「蟹工船」を書いた小林多喜二は、獄中死した。

 日露戦争では、日清戦争予算の3倍の賠償金を得た。皇室財産が増えたのは、戦争後である。

 戦争への方向に国は動いていったが、太平洋戦争では「勝つ見込みの無い戦争」をなぜやったのだろうか。

 アメリカは、当時の感覚としては「新興国」だから、戦えば勝てると考えたのではないか。