"人間と性"懇談室「ジェンダーってなんじゃ ?」勉強会 報告
2021年4月24日
テキスト『ジェンダーってなんじゃ? Q&A』による学習
● テキスト読みあわせと話し合い
○ 自己紹介と問題意識
- ジェンダーという言葉は20年くらい前から使っていた。10年前くらいからやっと一般化して来たと思う。女も力仕事をするのが当たり前になりつつあり、職業の男女差はなくなってきていると思う。20代の頃は、家族手当が世帯主に与えられていた。当時は女の世帯主は少なかった。時代は動いていて、今は女にも与えられる。
- 薬剤師の仕事をしてきた。女の多い職場だった。男女の賃金格差は無かった。中曽根政権のあたりからおかしくなったと思う。男女格差でも日本は取り残されると思う。困ったものだが。
- 家庭内の男女差別への疑問、父の母に対する「仕打ち」から50年くらい運動に関わっている。女性史の勉強から、ジェンダーは社会的に作られたものだと理解した。ジェンダーへの差別がおかしいとの考えが広く当たり前になりつつあり、隔世の感がある。政策決定の場での女の少なさが問題。差別があり、それを利用する社会がある。男女当たり前は進んではいるが、まだまだだと思う。
- 子どものときからジェンダーという意識は無かった。職場でのお茶だしにも抵抗は無かった。家庭内の影響が大きいと思う。今、夫婦別姓を取り上げている。離婚すると姓の変更が必要になる。今はそのままでも可となったが。戸籍上の姓と通称の違いはわずらわしさが多い。
- 女が働くとき、仕事を選ぶか、結婚を選ぶかという先輩世代の問題があった。自分の世代は当たり前に仕事も結婚もだったが、困難な壁もあった。そのため、森発言に怒りがわかないほど。しかし、世論形成されていく過程を見るうち、何もしないことは認めたことになるに繋がるから「違うでしょう」を言い続けることの大事さを思った。今は多様性を認めることの大事さを考えるときだと思う。性の問題や貧困の問題にもつながっていくと思う。
- 大学は真っ黒だった。男がほとんどだったため。結婚の時、どちらの姓にするかになり、最終的には折れて夫の姓になった。別姓問題を法律で何とかしてほしい。女と男だけでなく、多様性が出てきて良くなったと思う。若い人に継承していくのが課題だと思う。
- 結婚での改姓は女がすることが当たり前になっている。医師と看護師の間には、医師が上、看護師が下という関係がある。介護の現場では、賃金に男女差がある。ジェンダーの問題は幅広く、必ず差別の問題がある。
- ジェンダーは人権の問題であり、民主主義の問題だと思う。アンケートの結果では、力仕事は男、家事は女、結婚の改姓は女と考えていた人が多いことが分かった。
- ジェンダーについて考えると、自分が遅れていたことに気付いた。10数年で、新しい考えがどんどん出ている。若いママが子育ての大変さを学んでいる。かつての記憶では今に通じない。
○ アンケートに基づいた話し合い
- 別姓問題は頭に無かった。ジャンケンで負けたから相手の姓にした。
- 夫婦別姓を待つために、20年前くらいから離婚という形をとっている人もいる。
- 変更によるマイナスは、名刺の変更から始まり、面倒なことが多い。戸籍を変えても通称で過ごすことはできるが、同姓にしないための不利益はある。
- 結婚や離婚というプライベートなことを、職場に言う義務があるのはおかしい。
- 一般的には、結婚や離婚はプライベートとは考えないのではないか。特に家族制度の下では。国としては勝手にされては困るはず。税の仕組みなどが家族単位になっているから、プライベートだけではすまない。
- 「結婚して一人前」とか「小糠三合あれば養子に行くな」など、染み付いた考え方がある。日本は国が管理しやすいようにしている。
- 家族制度が残っている。これを何とかしないと。
- 今では、同棲から結婚に行くのが一般的になりつつある。
- 姓を変えなくてはという考え方は理不尽だと思う。今は世代間のズレが大きくなっている。
- 社会保障制度を個人中心に変える必要がある。世帯制度が個人になれば変わると思う。
- 「手伝うよ」と言われて憤慨したが、家庭科の男女共修によると思われる変化が今はある。手伝うという感覚ではなくなってきている。
- 保育園の送迎が男は珍しかった時代だった。表札を2つ出さなくてもおかしいと思わなかった。民主主義を言いながら、気づかされずにいた、気づかないで過ぎてきたことが多い。
- 教育によることが大きいのではないか。夫は家事をやらないが、息子たちはせっせとやる。50代以上の親たちは男にはさせなかった。
- 育てられ方とともに、個の持つ性格もあるかもしれない。夫は汚くなるのがいやで、掃除はせっせとやる。
- 家事の分担が難しい。それぞれが何気なくやれるようになると良いと思う。
- 男は家事をやるものではないという時代ではなくなった。女が先に死ぬと男はだらしない。食べることは男もやっておかねば。男が自立して生きることは大事。
○ ジェンダー平等に関して共産党の立場からの発言
2020年のジェンダーギャップ指数によれば、日本は156か国中120位。経済分野では117位、政治分野では147位で、最下位に近い。G7参加国中でジェンダーギャップは最下位。
東京でのコロナ関連では、56%の女性が非正規で、休業手当も無い場合が多い。女性の地位が低いために、問題が増幅されている。賃金格差の是正を目指さねばならない。ケア関連の労働は、社会的労働としては低賃金になっている現状がある。
ギャップ指数の改善には、社会的意識の改善だけでは無理。参院選での男女同数は努力目標のみ。衆院選や都議選では努力目標も無い。バイデン政権では女性が40%越えだし、ベルギーでは男女同数になっている。森発言に象徴されるように、政治の分野が147位になっている。国連への直接請求の批准もまだされていない。都議会では、夫婦別姓の国への提案が自民党の反対でできていない。同性パートナー問題、校則問題なども進んでいない。
痴漢問題は、「カロウシ」同様「チカン」で外国にも通じてしまう恥ずべき問題。「犯罪」として認められてこなかったかも。女性差別の社会的温床のひとつ。
1971年頃から始まった女性差別撤廃運動が、今では一人ひとりの尊厳と多様性を尊重する社会に繋がる運動へと発展してきている。共産党は、以前から男女平等に力を入れてきた。2020年の党大会で、ジェンダー平等が柱として位置づけられた。