"人間と性"懇談室「くらしの中のジェンダー 」勉強会 感想と報告
2022年5月26日
『くらしの中のジェンンダー 』
テキスト「くらしのなかのジェンダー」 41〜45
41 LGBTQにも浸透する 有害な男らしさと暴力
42 「戦う少年」マンガに変化 今年の流行作品に見る
43 「らしさ」の強調 必要か? 農業・農村の"女性活躍"
44 弱い自分 見据えているか DV加害の男性
45 想像力あればわかりあえる 男性を責めている?
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テキスト読みあわせと話し合い
41 LGBTQにも浸透する 有害な男らしさと暴力
<差別反対の運動で、熱く語る男性たちが、何食わぬ顔で女性に性暴力やセクハラ、DVをするのに愕然とした。
<男性がリードし女性が従うという恋愛、夫婦、セックスのカタチは、網の目のように張り巡らされ、シスヘテロにもLGBTQにも浸透している。
<性別適合手術なしの性別変更を認めないジェンダー平等後進国の日本。
- アメリカは適合手術なしで、性別変更ができている。
- 男女の区別そのものが変。長年の生活で意識に上らない差別がある。
- 男に生まれればよかったとする意識がある。男女の役割が定まっていることによると思う。
- 法による性別の取り扱いでは、生殖腺の問題が入っている。
42 「戦う少年」マンガに変化 今年の流行作品に見る
<男性キャラクターの助けを借りず、女性キャラクターのみで完結させている点で「呪術廻戦」もまた「戦う少年」マンガに新たな要素を加えている。
<21年のマンガ界では女性が活躍する作品が多く見られた。
<女性が活躍するフィクションとの乖離は進むばかりである。
- 池波正太郎の小説の中では、女が地に足が付いている。「剣客商売」の田沼の妾の娘は、自立した女である。彼の女性観が出ていると思う。
- マンガ家にも女性が増えた。自立している女性を描いているマンガが増加した。
- マンガといって侮れない。先を見て描いている。「鬼滅の刃」も同様か。マンガの中身が変わってきている。
- 女性作家の増加に伴い、男性の文化が女性の文化に変わってきている。
- 演歌の中も変化がある。女性差別でいやだと思っていたが、最近は少し変化している。女性が従うというパターンはまだ残っているが。
- 「セーラームーン」がフランスではやっているらしい。
- 女性議員数が世界一のウガンダでは、6割が女性になっている。独立後、虐殺が多数発生し、男性が少なくなってしまったことが、女性進出に繋がった。
- スウェーデンでは、国力保持のため、女性が働く必要があり、女性問題を国が補償していった。そのため、女性の進出が目覚しい。
- 平和な国では、男女平等が生まれる。戦争になると、ガラッと変わってしまう。マンガの世界とは違う。
43 「らしさ」の強調 必要か? 農業・農村の「女性活躍」
<「女性の目線による細やかな気配りや対応」が評価されたり、農業経営への女性の参画が「女性の感性を活かす」点から推奨される。
<女性の場合は、その人の経営手腕や努力の結果ではなく、「女性らしさ」と評価されてしまう。
<農業経営を主導するのは男性で、女性はそこに「女性らしい感性」を付け加える程度であってほしい。
<「女性らしい感性を活かした活躍」と持ち上げるのではなく、女性たちの足を踏んでいるものをのけさせることこそが、今目指すべきこと。
- 役割分担の範囲内のものか、それ以上か。農作業には役割分担が必要な場合があるが、機械化によれば変わるかも。
- 男しかできなかった作業が女にも可能となり、安い女を使うことになった。
- 気配りは男にもある。
- 山宣は、農村に入って、女に説いた。詳しい中身は知らないが。
- 農村問題は、知識不足でよくわからない。
44 弱い自分 見据えているか DV加害の男性
<DVの本質は支配とコントロールだと知った。
<主体を奪われるということこそが心的外傷を引き起こし、精神疾患を発症させることを学んだ。児童虐待、いじめ、職場のパワハラ、ヘイトスピーチなどが複雑性PTSDを引き起こすのも、同じ構造だ。
<主体的に生きる力そのものが、そがれてしまう。
<複雑性PTSDは、国際疾病分類第11版で、PTSDと区別して分類された。
<生きる意欲の低下は、実は疾患によるものだと認められた。
<加害者たちは惨めな自分の姿を見据えることができない。
- 夫の暴力は、妻に向くか、妻子に向くか、とにかく弱い立場の者に向く。
- 権力者の世界観を自分自身も体現しようとする男。
- ストレスを抱える男は、自分が支配者だと考えたくなる。
- 男は、いじめられたからいじめる。スポーツでの先輩後輩問題も同じ。コーチが高校生に暴力を振るった事件があったが、コーチもふるわれていたからふるったのだと思う。体験があって、再生産しているのではないか。
- 被支配者が支配者になっていく。軍隊では人間らしさを奪うことで、スーパーマンになっていく。
- 我々が中学生頃の先生は兵隊経験者が多かった。レッドパージ後は特に暴力教師が多かった。教師自身に暴力体験があったと思う。
- 問題になっても繰り返される。表面に出ないところで、まだやられている。
- スポーツの指導が根性論で来ていた。がんばればできるという精神論で来ていて、科学的でない。大松監督はその典型だと思う。青山の監督は、根性ではなく科学的だから強い。精神教育だけでなく、科学が必要。
- 名前が上がれば喜ぶ学校。科学的は建前で、今も根性論は続いている。行為そのものがいけないという理屈が通らない。
45 想像力あればわかりあえる 男性を責めている?
<「ジェンダーやフェミニズムの本を読むのは女性ばかり」が定説だったが、最近は男性の読者も増えてきている。
<「男性特権」は、その人の努力や苦労を否定するものではない。その属性を理由に差別される機会が少ないことが特権なのだ。
- 差別が少ないことが特権だと考える必要がある。
- 教科書問題では、教委に睨まれないように自主規制する。忖度する。
- 差別していないと考える男は、特権に気がつかない。セクハラだと気がつかない男は大きな問題。
- 白人問題は、男性特権と同様の問題になる。
- 自虐史観を問題にした伊藤隆は、歴史から学ぶことはないと言ってしまった。それくらい深刻な状況になっている。
- ジェンダーの問題で嬉しいことがある。子育てをしながらの候補者が出てきたこと。参院選では、夜の会議への欠席を認めたり、昼の会議でも作戦会議などには欠席を可能にするなど、候補者の活動を絞って、子育てと選挙活動の両立を図っている。
- 伊藤詩織さんの裁判では勝訴した。被告の山口氏は仕事を干されたと逆に訴えた。利用するのは当たり前という感覚しか持っていない。
- 戦後の民主主義の進め方は不徹底だった。民主化するには、自立がないとできない。
- ジェンダー問題が抜けていたのは不徹底だった。