"人間と性"懇談室「くらしの中のジェンダー 」勉強会 感想と報告
2022年3月24日
『くらしの中のジェンダー 第9回 』
テキスト「日刊赤旗 くらしの中のジェンダー 36〜40
36 養育費の低さに表れる 家庭内の女性蔑視
37 次世代に課題先送りしない 痴漢被害から子どもを守る
38 "らしさ"からの自由大事に 自分を「ぼく」という娘
39 弱者への支配が一気に可視化 コロナ禍の家族と暴力
40 「商品の陳列」にはならない 就活マナーの指南押しつけ
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テキストに基づいた話し合い
36 養育費の低さに表れる 家庭内の女性蔑視
- 賃金格差の問題。養育費が低いだけでなく、養育費が支払われない、DV問題なども、離婚に関わる問題。離婚調停委員の言動にジェンダーギャップを感じた。養育費をもらったときに「ありがとう」と言った方がいいという男性調停委員に、男女のギャップを感じた。
- 義母と同居したとき、家族からの支払いが数ヶ月あったが、その後途絶えた。原因は「ありがとう」が無いからだった。
- ジェンダーギャップではなく、人間関係ではないかと思う。
- 必要額の半分しかもらえないから、もらっても不満があるのに「ありがとう」と言わされることには抵抗があった。
- アメリカでは離婚するのは大変。男が支払わない場合は罰則がある。日本には無い。
- 日本女性には、もらえるかどうかは切実な問題だが、泣き寝入りする女性が多い。
- 子どもに対する養育費だから、個人ではなく政治が関わるべきではないか。
- 国によっては、医療費、教育費は無料で、外国人でも無料になるから、二世はよい暮らしができる。日本は住みやすい国では54番目でしかない。
- 現状に満足しているのかが不思議。生きていくための権利が、日本では自助、共助が中心で、国は何をしてくれているのかと思う。
- 男女の賃金格差が大きい。正規でも差がある。同一労働同一賃金が基本のはず。
- 看護師でも男は高い。女は嫁に行くから低くてよいとされてきた。
- 薬剤師は男女差無しの職場だった。株式会社の施設や、医療現場では差があった。男の多い職場はマッチョ的だった。そこでは優秀な女は、留学したり、外資系への転職などでやめていった。
- 自分たちで給料を公にしないから、いくらもらっているかは不明。上役の評価でのプラスがあるから一律ではない。
- 公務員はほとんど差が無い。教員社会は、男女格差は無い。担任になるかならないか、役職に付くかつかないかの差はある。
- 家裁の調停では、養育費の基本は決まっている。払わない場合の強制力が無い。そのため払っている男は2,3割にすぎない。親が養育費を援助している例もある。養育費が支払えない場合、国が養育費を決めたらいいのでは。子育ての費用を国が面倒見る。国が立て替えて男に請求する方法もあるのでは。
37 次世代に課題先送りしない 痴漢被害から子どもを守る
- 女性専用車両は朝夕のみで、男が乗ってはいけないわけではない。意味があるのか疑問。
- 痴漢は病気なのか。盗癖は病気だが。子どもに対する場合は小児フェチになり病気の可能性がある。滋賀の方にはパンツ議員という男の議員がいた。収集癖があるのかも。
- バッチで防げる。痴漢はバッチを見るから抑止力になる。
- 線路伝いに逃げた例があった。痴漢して逃げたのか、していないのに逃げたのかは不明。あったことの立証は簡単だが、無かったことの立証は難しい。
- フェチは半ば病気だと思うが、日本には痴漢を許す環境がある。国際的には性教育のカリキュラムがあるが、日本ではされていない。子どものときからキチンと性教育をすべき。現実の性と関係薄い教育しかない。
- 「親にいうと怒られる」と考えたのは、まともな性教育が無かったからの問題。自分の性をどう対処していくべきかを教える必要がある。痴漢が悪いというだけでは解決しない。自分で学んで対処するには、子どものときからの教育が大事。
- 性教育は、親世代の教育が無かったから、家庭内で教えるのが困難。保育園、幼稚園、学校でキチンと教えるべき。日本では閉じてしまっている。
- ポーランドの例では、学校での性教育が素晴らしいから、子どもがよくなっている。6歳からの学校教育が大事。0歳からの性教育も大事だが。
- 国際的基準があるのに取り入れない日本。教育者の中から動きがでるべきだが、今はできない。数人ががんばっても周りから潰されてしまう。個人的にがんばっている人は居るが、システムとして確立される必要がある。
- 七尾養護へのバッシング以来、性教育にフタが続いているのは残念。勝訴したにもかかわらず。
38 “らしさ”からの自由大事に 自分を「ぼく」という娘
- 女の子だが、人称は男の言い方をする娘さん。
- 職場の研修で、生徒が男のくせにピンクを着るのはおかしいと言った事例が出された。固定観念が刷り込まれている。
- トランスジェンダーで、性転換して女として生きている。区の相談窓口担当もしている。見た目は女できれいだが、声は男。相談受けたらどうするか聞くと、多くの依頼者はアライを作ることが大事だと思っている。
- 自分の呼び方もいろいろある。ボクと呼ぶ子どもも、アライを作っていくと、周りがだんだん認めてくれている。
- 田舎の方言では、女も男も「オレ」だった。柔らかい言い方で違和感は無かった。
- オレ、オラという地域もある。地方による文化の違いによる。
- 明治期に言語統一の必要性からできてきた。
- 女は私というべき、それがふさわしいという「らしさ」の問題でもあると思う。それに抵抗している場合もある。成人式には振袖と言われることへの抵抗がある女の子も居る。
- 自分の認識、表現にもらしさが表れる。
- 型にはめようとする社会日本がある。それから外れることへの周りの抵抗が大きい。
- 学校内では、6,7歳から違和感をもって、そのため、トランスジェンダーの人は、何人も自殺している。周りが認めてやるのが大切。
- 文化を背負っている日本の中での活動だから、差別へと発展する場合がある。注意が必要だ。
39 弱者への支配が一気に可視化 コロナ禍の家族と暴力
- コロナ禍による家族の衝突がある。男が居ないか夜遅く帰宅することで家庭内の平穏が保たれていたが、家庭内の衝突が増加した。目につかなかったことがコロナで目に付くようになった。
- 子どもへの性暴力の増加など、信じられない現象が起きた。
- 家庭のあり方の問題か。コロナで現れた閉ざされたことの可視化によるのか。
- 家族とは一緒に住んでこそのつながりか、距離を保った方がうまくいくのか。世代によって暮らし方が違う。それぞれの生活を認め合って生活していくことが大事。互いの生活圏を大事にする。
- コロナで面と向かい合うことが増加した。個別のふれあいはあるが、まとまりとしてのふれあいがない。家族としての役割を果たしていく中でのふれあいが減少した。
- 今は、勉強さえがんばっていればという家が多い。社会的不安解消の場が家庭のはずなのに、家が閉ざされた空間になってしまっている。
- 家の建て方も今は閉じている。匂いや音が入って来ない。昔は、縁側から入って来て平気な付き合いがあった。
- 閉ざされた空間で分からないから事件が起きる。核家族になったのも一因だと思う。
- 老人の孤独死などの問題が起きてきた。分断しておいて今再びと思ってもできない。
- 世の中の仕組みが弱者を作っている。社会が変われば、弱者ではなくなる。
40 「商品の陳列」にはならない 就活マナーの指南押しつけ
- リクルートスーツにして、なぜ同一の服装にするのか。メーカーの商売に乗せられているのでは。会社側は違和感を持たないのか。面接される側との暗黙の了解なのか。
- 個性が尊重されていない。自由なスタイルにすれば個性が分かるのに、今は全く逆。
- 昔は履歴書を出すくらいだったが、今は自分の推薦文を書く。
- 職業に合った服ではなく、今は企画化されたスーツを着る。
- 昔は仕事を身体で覚えたが、高度成長期以後マニュアル化された。以前はマニュアル内から自分たちで作っていたが、今は原理原則を考えずに、マニュアルを見るだけでやっているから失敗がある。マニュアルがあると、本当のことが分からない場合もある。今の若者は、身体で覚えることをマニュアルで済ませてしまっている。大企業はマニュアル社会の欠陥が出てしまう。
- 昔は企業が人を育てた。今は企業が人を育てることをやめてしまった。技術は専門学校などで学んでいくように変わった。
- 昔の大企業は、自社に夜間学校を作って資格を与えた。中卒で入社すれば、夜間学校にいかせた。日本の技術力が劣ってきているのは、システムを変えたこともあると思う。金儲けだけを考えている。
- 自分で自由に発信する働き方をしたい場合は、ユーチューバーになるとか、投資で設けるなどの方向に行く。
- 社会構造の変化で、今後どうなっていくのかを見極める必要がある。