"人間と性"懇談室「くらしの中のジェンダー」勉強会 感想と報告

                                                    2021年2月25日

    くらしの中のジェンダー 第5回  

                   

      テキスト 「日刊赤旗」連載「くらしの中のジェンダー1〜20 のうち 18・22・30

            「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」から

         

               18 発達要求に応える学びを

               22 人間全体へのまなざしを養う                                          

                     30 コロナで強まる重圧 

                    

   

 

● テキスト読みあわせと意見交換

 

 森の発言問題について

 

○ 国際セクシュアリティ教育ガイダンス」の性教育に関して

 

● レポート

 国際的スタンダードの「包括的性教育」を学ぶ

―「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」による性教育とは―

 

 従来の「性教育」では、「純潔教育」は過去のものとなったが、「身体の仕組み」、「性行為」などを学ぶ教育と捉えられがちであった。

 しかし、ユネスコの作成した「包括的性教育」では、「人間関係」、「ジェンダーの理解」、「価値観、人権、文化、セクシュアリティ」、「人間関係」など、8つのキーコンセプトによる幅広い項目を、「5歳から8歳」、「12歳から15歳」など、4段階で提示し、繰り返し学んでいく。

 

<キーコンセプト、トピック、学習目標の全体像> (別紙)

 

 「くらしのなかのジェンダー」の1418はキーコンセプト1の「人間関係」に含まれる問題提起である。2230は3の「ジェンダーの理解」に含まれる問題提起である。

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○ キーコンセプトの例

1 人間関係  1.3 寛容、包摂、尊重  (ジェンダー18)

 学習目標(1518歳以上) キーアイデア スティグマや差別に異議を唱え、包摂、非差別、多様性を促進することは重要である。

学習者ができるようになること・スティグマや差別が、個人、 コミュニティ、社会にどのようにネガティブな影響をもたらすかを分析する(知識)・スティグマや差別を禁止する既存の法律をまとめる(知識)・「区別」と思われている差別に立ち向かうことの重要性を認識する(態度)・排除されている人々へのサポートを表現する(スキル)・スティグマや差別に反対し、包摂、非差別、多様性の尊重のために主張をする(スキル)

 

3 ジェンダーの理解 3.2 ジェンダー平等、ジェンダーステレオタイプ、ジェンダーバイアス  (ジェンダー22 30)

 学習目標(1518歳以上) キーアイデア ジェンダー不平等、社会的規範、力の差は、性的行動に影響し、性的強制や虐待、 ジェンダーに基づく暴力のリスクを高めるかもしれない

学習者ができるようになること・ジェンダー不平等や力の差が、性的行動や性的強制ならびに、虐待、ジェンダーに基づく暴力にどのように影響するのかを明らかにする(知識)・ジェンダー不平等や力の差は、性的行動、 コンドームの使用、性と生殖に関する健康サービスへのアクセスなど、安全な方法を選び実行する能力に影響を与えうることを認識する(態度)・性的な強制や虐待、 ジェンダーに基づく暴力に直面した場合、 サポートにアクセスするか、他者がサポートにアクセスするのを助ける(スキル)

 

5 健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル メディアリテラシー、拒絶、交渉のスキル

学習目標(812) キーアイデア セクシュアリティや性的関係について非現実的なイメージを描き出しているメディアもあり、 それらは私たちのジェンダーや自尊心の捉え方に影響を与える可能性がある。

学習者ができるようになること・セクシュアリティや性的関係に関連するメディアの中の非現実的なイメージを明らかにし批評する(知識)・ジェンダーステレオタイプをつくり出すことにおける非現実的なイメージの影響について調べる(知識)・理想とされる美やジェンダーステレオタイプにメディアが影響を及ぼしていることを認識する(態度)・セクシュアリティや性的関係に関する非現実的なイメージが、自分たちのジェンダーや自尊心の捉え方にどれほど影響を与えうるのかを省察する(スキル)

 

7 セクシュアリティと性的行動 7.1セックス、セクシュアリティ、生涯にわたる性

 学習目標(812) キーアイデア 人間はそれぞれのセクシュアリティを、一生を通して楽しむ能力をもって生まれる。

学習者ができるようになること・セクシュアリティには、他者への感情的、身体的な関心を伴うことを理解する(知識)・人間が一生を通じて身体的接触(キス、ふれあい、愛撫、性的接触など)からよろこびを感じるさまざまな方法を説明する(知識)・セクシュアリティは人間の健康にかかわる一部であることに気づく(態度)・同性に魅力を感じる人、同性に魅力を感じると思われている人に対する差別は間違ったことであり、 その差別はそれらの個々人にネガティブな影響をもたらす可能性があることを認識する(態度)・さまざまな性的な感情について伝え、理解し、適切な方法でセクシュアリティについて語る(スキル

 

 ○ 性教協設立の趣意  (科学・人権・自立・共生の性教育)

私たちが考える性教育の基本方向は、日本の歴史が歴史的に作り上げてきた性への偏見を払拭し、ヒューマンセクシュアリティとしての豊かな性を人間の一生の中に積極的に位置づけ、さらに実りある人間関係を築いてゆく力を培うことにある。それは憲法と教育基本法にある男女の対等性を基礎に、科学と人間の尊重の思想をこの分野の教育に貫くことでもある。そのために私たちは歴史的遺産を受け継ぎ、関係する諸分野の学問的成果を学び取りながらお互いの研究と実践をすすめ、日本の社会に人間性豊かな性文化を創造していくためにこの会を設立する。(1982.4)