《ホーム》

思春期の心とからだ

No.31

 

研究所  所長代行 

金子由美子  

 20012/11/13
自分を見つめ直して 「ひとりぼっち」の時間を大切に
 

 あなたは、ひとりになれる「居場所」や「時間」がありますか。兄弟と一緒の部屋で「居場所」がない人でも、年下の兄弟が早く寝てしまえば、ひとりになれる「時間」は確保できますね。

 でも、あなたより寝るのが遅い年上の兄弟と一緒だったり、親や祖父母など自分以外の「人」と常に一緒という家庭の事情もあることでしょう。

 でもね。思春期を迎えたあなたにとって、「ひとりきりになる」時間や場所を持つことには、特別な意味があるのです。

 間仕切りカーテン、段ボール、ついたて、押し入れなどでもいいので、人からの視線を遮れる場所や、からだを隠す場所を確保し、一人きりのプライベートなひとときを大切にしてほしいのです。

 チョウなどの昆虫のさなぎは、その中でどんな変化が起きているのか知っていますか? 幼虫がさなぎへと変化した時に、これまでの幼虫の形をつくっている組織は食細胞により完全に破壊されます。その後、再びチョウになるための形づくりを始め、成虫として生まれ変わるのです。

 思春期という時期を見つめてきた私はその事実を知った時、さなぎは、まるで思春期そのものだと感じました。自立に向けての一歩を踏み出すためには、これまでの自分をゆっくり見つめ直し、ひとりで過ごすさなぎのような時期が必要なのです。

 「ひとりぼっち」に慣れないうちは、心細さや不安を感じることでしょう。アイドルの写真やポスターを部屋中に張ったり、ゲーセンのクレーンでゲットしたぬいぐるみで部屋を埋め尽くしたり、お気に入りの洋服をハンガーにつるし部屋中にかけたり…、あなたの周囲にも、自分にぴったりの「さなぎ」づくりをしている人がいるはずです。

 一人になったら、自分を見つめたり、自分を好きになる方法を探してみましょう。日記や絵を描いて自分の感性を高めてみるのもいいですね。詩を作る、小説を読む(想像力を高めるには「活字」がいいです)、ピアノやギターなど楽器に挑戦してみるのもいいでしょう。好きな音楽を流したり、窓を開けて空気を入れ替えたり、気分が落ち着く工夫をしてみてください。

 ただ、パソコンでのゲームやネットサーフィンは刺激的ですが、ゆっくり自分を見つめたり創造力を高めるためには適していません。また、明るすぎる部屋で夜遅くまで起きていると脳の興奮が収まらずに、眠れなくなります。

 そうなると、からだの成長にも支障をきたします。深夜11時から2時の睡眠中に成長ホルモンが分泌されるので、その時間にはしっかりと眠るように心がけましょう。

 ひとりぼっちの時間に自分を見つめ、想像・創造する力を高めていくと、自分以外の人や知らない世界のことを推し量ることにもつながります。それは、これからの人生を豊かにする力になるでしょう。

 人間とはどういう存在なのか、なぜこの世に生れてきたのか、時代や社会の中で何をすべきかなどと考えるのが「哲学」という学問です。若き「哲学者」たちの誕生を期待しています。

 

 

  

 

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