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思春期の心とからだ

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思春期相談員・カウンセラー

 佐藤 晴世 

思春期症候群

 

思春期の障害(1)

 思春期の子どもを見ていると、憂鬱そうな顔や、反抗的な眼差しが気になって、どう接していこうかと親として気に病むことがあります。

 時に親や社会には受け入れがたい態度をとるので、どうしても思春期は、反抗期として扱われがちです。

 しかし、身体的な不調にはあまり目を向けられずに、その事で子どもの気持ちとかい離してしまう場合も多く見られます。

 

 基本的にはホルモンバランスの変化・移行期として思春期は更年期と同じです。ですから思春期に不定愁訴を起こす子も多いのですが、テレビや雑誌では取り上げられることが少なく、こういう時に追い立てられて生活を続けることで、親にも社会にも心を閉してしまう子どもが少なくありません。

 

 不定愁訴や鬱傾向が子どもに現れたら、まずゆっくり休ませてあげてください。これは異常ではありませんが、放っておくと思春期症候群や、思春期鬱など、立ち直りに時間が掛かります。ぜひ思春期外来などを利用してほしいと思います。

 

 若者は常にフレッシュで躍動的であると思ってしまうと、我が子がそうでない時、だらしなく見えてイライラするかも知れません。実際、スポーツや勉学に情熱を傾けることができる子もいます。   

 そういうはつらつと思春期を過ごせる子とそうでない子と、更年期にも差があるように思春期はとても個人差があるのです。

@只今突貫工事中

 ホルモンの急激な変化。骨や筋肉の成長。それらに対応するための特別な指令を出している脳。そんな時、脳は通常の何倍も働いているので、非常に疲労感が強くなります。疲れがたまってつい、部活を休んだり、塾に行かなくなったり。

 家でゴロゴロしていても体の中は突貫工事中の建築現場です。何種類もの成長ホルモンがやってきて次々に命令を出し、もたもたしていると、もっとたくさんのホルモンを分泌します。すると今度はこのたくさんのホルモンが出した命令を実行すべくからだ中の工事が一斉に始まります。たちまち工事現場の資材は不足します。それでも突貫工事は終わりませんから、貧血、立ちくらみ、無気力などからだが、黄色信号を発します。

事実思春期に不登校になる子はとても多いのです。

 こんな時どうするのが一番良いでしょうか?

ゆっくり休むこと。栄養をとること。脳へのストレスを減らすために、子どもが気にするようなことは謹んで話題にしない。できるだけ楽しい話題を提供し、リラックス出来る環境を整えること。昔の人は本当にこういう時いいことわざを残しています。

『寝る子は育つ』…まさに思春期の子どもたちはゴロゴロしながら成長しているのです。

 

A鉄欠乏性貧血の心配

 この時期、特に多くなるのは女子の鉄欠乏性貧血です。エストロジェンの分泌で子宮が成熟し、皮下脂肪が多くなります。初潮が始まったすぐの頃は出血があったり無かったりと不順ですが、2〜3年すると月経は、ほぼ28日周期で起こり、出血も多くなります。月経ごとに20〜30 mg の鉄分が失われます。

 そんな頃に部活で土日も練習に出る。塾に週3回通っている。太りたくなくて、サラダなどカロリーの低いものばかり食べている。このどれか一つでも子どもに当てはまる場合、成長に欠かせない鉄分は、不足していきます。少しずつ不足するので貧血になっていても気がつかないことが多いようです。

 男子にも、スポーツ貧血がよく見られます。男子はこの時期アンドロゲンという成長ホルモンの影響で、骨や筋肉が急激に成長し多量のカルシウムや鉄分が必要になります。

結果的に栄養が不足して貧血を起こすのです。

 

B頑張りすぎる子どもたち

 6時間も勉強した後、部活で汗だらけ埃だらけになって、薄暗くなった道を下校してくる子どもたち。帰宅してもすぐにリュックを担いで塾を目指す子どもたち。この子たちにゴロゴロできる時間はあるのだろうかと心配になります。そして、コンビニでハンバガーと清涼飲料水の簡単な夕食をとる子どもたち。この子たちには需要と供給のバランスなど、関係ないようです。

 こんな生活で健康な成長期を過ごせるわけはありません。

 お母さんの作ってくれた夕食もきちんと摂ってほしいと思わずにいられません。

 子どもが学校を休みがち、成績も下降気味、こんな時は怠けていると責める前に、鉄欠乏性貧血や、不定愁訴など思春期症候群を疑ってください。

 

 思春期の子どもの食事や心身のゆとりを保証することの方が学力を上げることよりも、もっと重要な問題だと思っています。