《ホーム》

思春期の心とからだ

No.21

思春期相談員・カウンセラー  

 佐藤 晴世  

 2008/5/10

ネット社会の危険

 
思春期の子を狙うネット犯罪
 

 携帯やパソコンが普及して、どの子も中学生くらいになると器用に大人顔負けでパソコンを操作します。親よりもネットに詳しいのがあたりまえの時代です。

 携帯に至っては個人の所有物として親と言えでも子どもの携帯にはさわれないのが現状です。もし親が秘密で子どもの携帯を見ていることがわかったら、子どもとの信頼関係が覆ってしまいかねない、それほど携帯は個人の物として定着してしまっています。

 

 パソコンも居間にあれば、家族共有ですが、ひとたび子ども部屋に設置すれば、もう子どものプライバシーとして簡単に踏み込めなくなります。子ども部屋にパソコンがあり、ネットに繋がっていれば、好奇心から親があまり見て欲しくないと思うようなサイトにも簡単にアクセスできるようになります。俗にいうエッチサイトや出会い系サイトは不良などといわれる子どもの専売特許ではありません。経済的にもある程度余裕のある家庭に育ち、学力もある真面目な子どもでも、道具立てがそろえばそういう世界に踏み込んで行くことは簡単です。

 

 ネットとはもともと蜘蛛の巣を意味します。興味本位でいろんなサイトにアクセスしているうちに粘りけのある糸に絡み取られて、気づくと蜘蛛の餌になっている。 蝶々やトンボが初めから危険を承知で蜘蛛の巣に近づいたわけではないのと同じです。

 

 男の子に多いのはエッチサイトにアクセスすることですが、最近は女の子でもエッチサイトを覘くことはあたりまえだと思ってください。そうこうしているうちに、いつの間にか料金のかかるサイトにはまりこんでしまう危険があります。エッチサイトにアクセスするだけでも親としては避けたいところですが、思春期なれば、性的な好奇心を持ってあたりまえ。避けては通れないでしょう。

 深みにはまって高い料金を請求されたときに親に相談できるかどうかがこの場合重要です。親子でコミュニケーションがしっかり取れている家庭かどうかが問われるのはこういうときです。普段から親子でこういう場合に備えてパソコンや携帯ネットの使い方を話し合っておくことは、後々問題が起ったとき解決の早道になるでしょう。

 

 そこまで行かなくても、エッチサイトを開いたら、どうしてもそこから操作上、もとのサイトに戻れない状態になるときがりあります。もっぱらパソコンは子どもだけしか使わないという家庭では、せっぱ詰まった子どもが親に助けを求めても親がパニックを起こしては、子どもは混乱してしまいます。そんな時、電源を切って強制終了すれば問題ありません。親の方も与える前にこの程度の知識は持っていて欲しいと思います。失敗は子どもの成長には必要な栄養です。エッチサイトにアクセスしたことを叱るよりも、危険をはらんだサイトには二度と近づかないようにするチャンスにもなるのです。 

 子どもが高額サイトにアクセスして一人悩んで料金をアルバイトなどで支払うことがないように「こういうサイトは、わいせつ犯として取締を受けているサイトだ」と親子で知っておくことも重要です。恐れず警察に連絡して処理するようにしたいものです。

 

 

出会い系サイト
 

  女の子で今一番心配されているのは、事件に巻き込まれたり、最悪の場合命を落とすケースもある出会い系サイトです。

 うちの子に限って出会い系はないでしょ…大抵の親はそう思っているかも知れません。 一度アクセスして危険を経験しているから、もう二度とアクセスしないだろうという親御さんもいるでしょう。思春期の難しい子を持つ親は腫れ物に触るような気持ちで、心配をしながらも無関心を装っている方もいるかも知れません。

 

 一度や二度、出会い系にアクセスしてもそれで終わっているケースの子などは、親も知らずに危険を何とか回避している場合も多いのではないかと思います。

 そのような場合は「出会い系で命を落とすなんて、運の悪い子ね」ではなくて、むしろ幸運にも生きて帰れたケースだと奇蹟を喜ばなくてはなりません。

 

 今や、子ども部屋にパソコンを置いている家庭も少なくないし、携帯でネットに繋がる時代。どの子もエッチサイトにアクセスするのと同じくらい簡単に出会い系にアクセスできてしまうのです。

 

 出会い系にはまる子は、放任主義の親のもとで好き放題に育てられた子どもか、愛情に飢えている子だというステレオタイプの想像をしていたら、我が子の危険に気づかずに時を過ごしてしまいます。子どもとは好奇心の塊です。また思春期の微妙な心理状態の中、今まで築いてきた親子の絆が子どもの行動を制御してくれるだろうというのも親の勝手な願いにすぎません。もちろん親の愛情が子どものこうした世界に踏み込むことへの抑止力であることを否定はしませんが、必ずしも愛情が子どもを守ってくれるわけではないのです。

 

 家庭的にも恵まれている、いつも愛情を絶やしたことがない。だから安心…なのではなくて、今、日本のネット社会は野放しでとても危険な状態にあるということを、まず頭に入れておいてください。

 ネット社会に子どもを放り込んでしまうのは、羽化したばかりの濡れたような羽根を持つ蝶々を蜘蛛の巣の近くに放すようなものです。大人でさえ、ポルノサイトにはまりこんで高額な料金を要求される人や、出会い系犯罪に巻き込まれ亡くなる人が後を絶たないのですから、やはり子どもをどう守るかは教育と防波堤になる道具立てが必要です。

 

 たとえば、@ PC や携帯を買い与える前に使い方のルールを親子で作る。具体的な例でいえば、1・子ども部屋にパソコンを置かない 2・使う時間を制限する 3・寝室に携帯を持ち込まない など、そして必ず購入時にはAフィルタリングを導入する。  特にAは親の責任としても必須です。それができないならネットに繋がる携帯は持たせるべきではありません。

 

 子どもからお金や命さえも簡単に搾取する大人が存在する以上親は何としても、そうした犯罪に巻き込まれないように先手を打って欲しいのです。巻き込まれてしまったら、命からがら逃げ帰っても、その傷から立ち直るには時間がとてもかかります。

 

ネット社会の良識あるルールが早く確立することを望んでやみませんが…、それ待っていては今狙われている子どもを救えません。今何をすべきか、親子で一度話し合ってみてください。

ネット社会の危険

 

ご相談・問い合わせ

info@seikyoken.org