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研究所 相談員    

文・イラスト 佐藤 晴世

 
(5)グルーミング(いたわり、抱擁、愛撫)の大切さ

 おかあさんと赤ちゃんの肌のふれあいは免疫力を高めます。しかし、前回もお話ししたように、おかあさんの心の安定がなければ赤ちゃんを抱きしめることさえ難しくなります。赤ちゃんの生きる力を引き出すためには、おかあさんの産後ケアは欠かせません。

 出産により女性は心身ともに大きなストレスがかかります。また産後はホルモンバランスも乱れ、女性の身体環境は大きく変化します。しかし新生児 を抱えるお母さんの疲労のピークは出産直後より退院後。誰か身の回りの世話をしてくれる人がいた場合はその援助が受けられなくなる一ヶ月以降が、第一のピークと考えられます。皆の視線が自分にも注がれる出産直後というのは、大抵の母親にとって一番誇らしく緊張も伴っているので、疲れてはいてもあまり疲労感がないのです。

 自分の母親が近くにいて育児を手伝ってくれる、夫が子煩悩で、夜中に泣いた時あやしてくれる。こんな環境なら、幾分若いお母さんの疲労は少ないかも知れませんが、大抵の人は自分の実家も夫の実家も遠く、さらに夫は毎日夜遅くしか帰って来ないという、日本独特の勤務システムに組み込まれていたとしたら、お母さんのストレスは大変なものでしょう。

 育児ストレスと産後のホルモンバランスに対応するためのストレスで多少の差はあるものの大抵の場合不定愁訴(自律神経失調症)に陥ったりします。周囲が新しい家族にばかり気を取られていると母親が 産後うつ病 ( マタニティーブルー ) になっていることに気づかず長引くことにもなりかねません。

 

マタニティーブルーの予防 〜夫の出番です〜

   ここからはお父さん(夫)に読んでもらいたいんだけれど、妻が育児ストレスで疲れ切っているようなら、あなたも疲れているでしょうけれど(ここがお父さんのガンバリどころ)母乳を飲ませる以外ならあなたにもすべて出来るはずです。

子どもは妻が産んだけれど、あなたの子どもであることをしっかりと自覚して育児参加しないと、なんだか育児を手伝わされているというような気分になってしまいます。

狼やジャッカルのお父さんは、捕った獲物をその場でかみ砕き、飲み込み、持ち帰ったその場で吐き戻し、待っていた育児中の妻(産後弱ってる妻に半消化したものをあたえる)に食べさせます。まあ夫であるあなたにそこまでしろとはいいませんが(でもたまには妻に変わって手料理をする。あるいは妻の大好きなケーキを買って帰るなんていうのはどうですか?)子育てを夫婦でする動物は、妻をいたわり守ることで自分の子どもを最大限に守っているわけです。

 それから妻への グルーミング(指で髪の毛をすく・やさしく体を撫でる) 、どの動物もつがいになると盛んに繰り返す行為です。特に子育て中は雄が雌にしつこいほどこの行為を繰り返します。(あまりにせっせとグルーミングを繰り返して、雌にうるさがられるセキセイインコを見たことがあります)これは雌が育児放棄をしないようにする大切な行為だとされています。このグルーミングをさぼった動物の家族は簡単に崩壊することがあるからです。

  人間も例外ではありません。「育児ノイローゼで乳児を殺害」などという記事にはその後の報道でもくわしく理由が明かされませんが、大抵夫が妻の育児ストレスを軽減してやっていません。セックスは求めても妻に優しく触れる(グルーミング)というどの動物もやっている大切な行為を忘れてしまっている男性が、案外多いのでは…。

 

今だからこそ、二人の時を大切に

 人間は思春期に発情するとそれ以降死ぬまで発情し続ける(特に男性は…。

女性は一概にいえませんが、子育て中は性欲が一時的に減退します)やっかいな生き物です。他の動物のように本能に従ってその季節になると盛んに交尾し、その後、妻が妊娠するとやさしく撫でさすり、出産すれば妻子に『最大限の感謝と誠意を見せる』という基本的な本能をややもすれば忘れてしまいがち、疲れている妻をいたわることもなくセックスを迫っていては、妻のストレスは増すばかり。

 恋愛時代には盛んに手をつないだり、肩を抱き寄せていたあの親密ぶりが結婚と同時に消え失せるのではあまりに寂しい夫婦関係です。

 

 セックスを『性交』や『射精』だけに限定せず、妻が幸せだと感じるように時間を掛けて、愛をささやき妻が疲れていたら、ただ手をつないで眠る(これは夫が疲れている時も同じです)という行為も含めてセックスだと考えて下さい。(男の性欲は『下半身の問題』なんて古くさい非科学的なことはいわずに、性欲は大脳がコントロールするものです。まず性を科学的に学んで下さいね!)

 そして仕事から帰ってきたらまずお互いを優しく グルーミング(いたわり、抱擁、愛撫) しあって下さいね!