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研究所相談員・カウンセラー 佐藤 晴世

 

(9)発達障害
 
@発達障害と向き合う
 

 脳医学の進歩により今までは落ち着きがない、集中力がない、親の躾がなってないと言われていた子どもたちの脳に発達の遅れや障害が見つかるようになりました。成長とともに遅れを取り戻す児童もいますが、大人になっても障害を引きずる人もいます。広汎性発達障害(高機能自閉症やアスペルガー)ADHA(注意欠損多動性障害)、LD(学習障害)など症状に応じて名称が付けられています。どの発達障害にも共通しているのは人とのコミュニケーションが苦手という点です。

 

 多くの子どもたちは成長とともに、こうした障害を克服したり、投薬で自己コントロールの方法を学んでいきます。大人になっても発達障害の克服が難しい場合は障害者手帳の交付などを受けて、福祉支援を受けることができます。

 

 こうした発達障害をもつ子どもたちは成長の過程で、親や担任、クラスメートから叱責されたり、仲間はずれにされてプライドを傷つけられ、自分を肯定する力を無くしてしまっている場合があります。現在少年犯罪で補導される子どもたちの中に発達障害を疑われるケースの子どもたちがいます。そんなわけで発達障害と犯罪を重ねる向きもありますが、彼らが人として深く傷つき自暴自棄になっているとも考えます。またADHDという障害をもっている人は怒りに身をまかせる傾向があります。

 

 いかに子どものプライドに配慮しながら育てていくか、またADHDの児童の突発的な怒りに対しては投薬が効果的で、年齢が上がれば、自分で時間をみて薬をのんだり、いらつきの激しいときは進んで保健室に症状を訴えに来る力もついてきます。

 

 

 

A発達障害に気付かれない子どもたち
 

 問題は親も教師も障害ということばを嫌い、単にその子の性格だと判断してしまっているケースです。軽度発達障害の子どもたちは周囲からちょっと困った子どもとして、その場しのぎの対応で、中学や高校まで放置されている場合があります。知的には障害がなくても何年も放置され続けることにより、クラスのお荷物になったり、学習困難児になってしまう場合もあります。一時も早く、発達障害に気付き、その子の個性に合わせた指導方法や個別指導員についてもらうことで「自分は何をやってもダメだ」「どうせみんなに嫌われている」という負の感情から「自分は大切にされている」「世界にたった一つの存在」というプラスのイメージで自分の存在を肯定できるようなプログラムに出会って欲しいと思います。

 

 そのためには親にも教師にも発達障害について知ったり学んだりする機会が必要です。長い間子育てに苦労し何度も学校に「うちの子どもは他の子と少し違うけれど大丈夫でしょうか」と相談していたのに、「授業中も静かにしているし、性格も穏やかでクラスメートからもイジメを受けていないから大丈夫ですよ」と言われて、そのまま中学に進んだ生徒が、どうしても学習についてけず、不安から担任につきまとい、一日のスケジュールを何度も何度も繰り返し聞き続け、不審に思った担任が専門家に相談して初めて広汎性発達障害と診断されたケースがありました。

 

 静かにして迷惑がかからないという理由から発達障害を見過ごされている児童がいるとしたら、親にとっても子どもにとっても時間の損失ですし、社会的にも将来の受け皿が問題になってきます。教師はその子の一生に責任を感じて、そういう目線で指導をしていれば、おとなしいことを理由に放任されることはないと思います。

  大人になってどんな仕事につけるのか、日常の中でイメージしていけば、福祉を利用する手だても見えてきます。

 

B発達障害児だったかもしれない私
 

 私自身、子どものころ落ち着きなく集中力のない子どもでした。いまならLDかADHDと診断されたかも知れません。その傾向はあったと思います。小学校当時の通知表に書かれている担任の評価を読むと、今でもおかしさと悲しさで笑ってしまいます。「落ち着きがなく、周囲に迷惑をかけているという自覚がない」「教室の外ばかり見ている」「イタズラ書きが異常に多い」…なんと愛情のない評価でしょうか。

 そんな中に「他の児童にはない感性がある」と評価してくれる担任もいました。100%欠点だらけという訳でもなかったようです。

 それでも真新しい学校の壁にペンキで絵を描いてしまったり、授業が始まっても黒板に絵を描き続けていたり、学級活動の時間にはいつも名指しでその日迷惑をかけたことを反省させられていました。しかし当の私は、いつも何がいけないのか理由がわからず、少なからず困惑していました。そんな尋常とは思えない行動もあり、家族はたびたび恥ずかしい思いをさせられていたことは確かです。

 

 そんな私に同居していた父方の祖母は方言で「シガンダみたいな子(季節の終わりにできる、しおれて成長しない野菜)」と表現して、長い間私を落胆させていました。きっと祖母もなかなか普通の子のように成長しない孫に落胆していたのでしょう。しかし私の両親は常に「あなたは他の子にはない、いいところがたくさんあるよ」と言ってくれていました。父は「お前はかわいいなあ」とよく膝に抱いてくれました。お世辞にも頭がいいと思える成績など取ったことはありませんでしたが、母や姉は「勉強しないからできないだけで、ほんとは頭がいいんだよ」と励ましてくれました。

 

 実際、詩や絵を描く能力は優れていました。動物と話せる特殊な能力もありました。 それが当時の私自身についての感想です。

 小学校時代極端に成長が遅かった私ですが、中学・高校と年齢を重ねるにつれ徐々に成長の遅れを取り戻していきましたが、そうした中で詩や絵を描く能力や動物と話す能力はなくしていきました。

 

 発達障害は単に成長が遅れているのではなく、特別に発達した脳の部分があり、そのために一般的な発達をするはずの脳が小さいと言われています。発達障害とはもしかしたら特別な能力を持ってる子どもを指す言葉なのかもしれません。早く発見して適切な指導の下、その子の特別な能力に気づいたり、苦手といわれるコミュニケーション能力を最大限に伸ばす手だてを講じて将来を切り開く手がかりにして欲しいと思います。

 
 

感想・ご相談

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参考図書

『ママ、パパおしえて!』 定 価    : 1,365円(税込) 出版社    : 子どもの未来社

おとな図鑑 男の子って?女の子って?

〔小学館ワンダーランドブックス〕税込: \840

Q&A子どもの性の相談室 税込:\1,680

性ってなに? 税込:\1,470

 

『せっくすのえほん』

 やまもとなおひで =かんしゅう/みずのつき

        (子どもの未来社/ 1400円)

『おちんちんのえほん』

文=やまもとなおひで 

え=さとうまさこ(ポプラ社/ 1200円)

 

『あかちゃんはどこから』

 ローズマリー・ストーンズ作 

山本 直英訳(ポプラ社/ 1200円)

 

『おかあさんとみる性の本』

全 3 巻 山本 直英監修(童心社/ 1300 円)

『ほんとうに知りたかった カラダのヒ・ミ・ツ』

山本 直英編(講談社/ 1200 円

 

『性はHのことじゃない』

高柳 美知子著(岩崎書店/ 1600 円)

 

『からだっていいな』

      山本 直英著・片山 健画(童心社/ 1339円)