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研究所 相談員 文・イラスト 佐藤 晴世 |
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(3)赤ちゃんを抱くということA
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| 赤ちゃんを抱くということには2つの意味があります。
1つは赤ちゃん自身にこの世が安全で、すてきなところという意識を持足せるために。 眠りからさめて、不安に泣きだしたとき、すぐに誰かが抱き上げてくれて「どうしたの?おなかがすいたかな?」などと声を掛けてくれたら、赤ちゃんは『自分はいつも大切に扱われている』ことを実感出来ます。 もう1つは、抱きしめる側の変化です。たとえ自分の赤ちゃんでなくても、たびたび抱いたことのある甥や姪、近所の赤ちゃんに特別の情が湧いたという経験はありませんか? これこそが、子育てホルモンの分泌によるものです。 人間は毛が脱落した動物なので皮膚感覚が非常に敏感に出来ています。 子どもを抱きしめることは、愛しているから抱きしめるということとは逆の作用ももたらします。 抱っこしているうちに愛情が湧いてくる。これは出産後へその緒がつながったままの我が子を抱きしめるという中でも話しましたが、子どもを育てるために必要なホルモンの分泌を促します。 未熟児でうまれて保育器に入っている我が子を長く抱くことができなかったため、愛情を持てなくなったおかあさんに、繰り返し抱っこ療法をすることで、再び赤ちゃんを愛し始めることが出来るようになったという報告がなされています。また、母子関係がうまく育たなかった人格障害者の治療の中で、母親が大きくなった我が子を抱きしめているうちに、子どもの精神が安定しただけでなく母親もまた、再び子どもと向き合えるようになったという結果も出ているのです。 人間の繊細な皮膚は細胞を包んでいるだけではなく、こころも包んでいるんですね。 |
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(4)でもやっぱり! 抱きしめるだけでは、解決しないのよね !! 〜 育児ストレス〜 |
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| 抱くという一点だけからいえば、おかあさんが抱いて育てることが理想的に見えますが、乳児を抱えるお母さんの疲労は周りが考えているより、大きい場合があります。 そんな時、緊急避難的に一時我が子を預かってくれる保育仲間を作ることは大切です。 愚痴を聞いてもらったり、聞いてあげたりすることで、自分は一人ぼっちで育児をいているんじゃないという安心感がうまれるでしょう。また年長の育児経験者を頼るのもいいですね。孫のような赤ちゃんを抱いて離さないかも…。 前回の中でも私はサルの育児のことを話しました。人間がヒト科ヒト属ホモサピエンスという動物である以上、もう少し動物としての本能を甦らせてみましょう。 チンパンジー・ボノボ・オランウータンは今、人に一番近い動物といわれています。 母ザルは決して誰にも赤ちゃんを触らせないと書きましたが、これは周囲に凶暴な雄ザルがいて危険が大きいからです。もう少し人間に近い類人猿は生後3ヶ月から、4ヶ月くらいになると、赤ちゃんの兄妹や若いメスに手を握らせたり、からだに触れさせたりします。そして充分に信頼に足るとわかると抱かせてやります。この若い仲間は有頂天になって、母親が抱きとろうとすると赤ちゃんを抱いたまま逃げ出したりして、もっと赤ちゃんを抱きたがりますが、赤ちゃんに危害を加えたりはしません。 赤ちゃんは若い保母さんから徐々に年の近い仲間へと、かまってもらう相手を増やしながら社会性を身につけます。しかしながら、この時赤ちゃんの面倒を見ている母親あるいは保母は決して赤ちゃんから目を離しません。危険や、年不相応な遊びがはじまるとすぐに飛んでいって赤ちゃんを抱きかかえます。 こうして見ていくと、太古から人間は母親だけが子どもの保育者ではなく仲間がもっと深く関わり、母親も、仲間との時間をたくさん持ちながら育児をしていたのではないでしょうか。 |
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そして、我が子に『会いたくてしょうがない!』という気持ちが起こらないことに自己嫌悪しないでね。そんなことは誰にでもあることです。あなたは今とっても疲れているのです。肉体的な疲れじゃなくて精神的に…。 こうして自分が動物だと考えると、今私たちが置かれている育児システムは異常であることに気が付きます。
専業主婦は一日中孤立してたった一人で育児をし、働く女性は目一杯働いて、ぐったり疲れてから保育園にお迎えに行く。どちらも動物の本能的な子育てからは程遠い子育てを強いられますね。 専業主婦にも、社会参加をしたいという人間として当然の欲求を満たしたり、疲労から来る精神的ダメージから、からだを救う手だてが必要です。 また、働くおかあさんも男性社会の中で生き残りを掛けて働くのではなく(これは今の日本社会を根本から変えていくという難しい問題をはらんでいますが)出来れば、育児休暇を上手に利用しながら、子どもに関わって欲しいものです。(これは父親にもそうあって欲しいのですが…。) 子どもにとって大切な幼児期を、抱きしめながら信頼関係を作り上げていく時期として、必要な時間を充分取りたいものです。人生でたった数年しかない親子の蜜月時代なのですから…。 |
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