相田みつおの詩に「あの人」があります。
あの人がゆくんじゃ わたしはゆかない
あの人がゆくなら わたしもゆく
あの人 あの人 わたしはどっちのあの人か?
短いけれど、読むたびにはっとさせられる詩です。
「夫婦でいることで長生きする場合」と「夫婦で居るから短命になる場合」について、報道されたとき、上記の詩を思い出しました。
高齢になったとき、夫婦で生活した方が、一人暮らしよりも長命であるとの研究結果が発表されたと報じられました。昨年のことだったように記憶しています。
夫婦で居ることから、生活に張りが出て、互いのコミュニケーションもとるから、ボケも進まないで済む。高齢になると、夫婦で居ることの良さが出るから、簡単に離婚などしないで、夫婦で生を全うすることを考えなさい。ということのように受け取れました。
他方、夫婦だから短命になるという、研究結果も出されています。
夫の居る妻の方が、居ない場合よりも、短命になるというのです。夫がいて、妻は家事や夫の世話に追われていると、ストレスがたまって短命になるということのようです。
どちらも、単なる思いつきではなく、綿密な調査結果による研究発表を報道しているものですから、どちらかが間違っているのではなく、どちらも真実だと思います。
この結果は、高齢になったときの夫婦関係を見事に映し出していると考えますが、読者の皆様はどう考えられるでしょうか。
高齢の一人暮らしは孤独になり勝ちで、友達もごく近くにいなければ、なかなか訪ねていくこともできない。食事なども「まあ良いか」と、ついつい手を抜き勝ちになる。高齢者の健康にとっての2大要素、食事と運動が充分満たされなくなる。その結果、短命になってしまうのでしょう。だから、夫婦が良いとの結論が導き出されたわけです。
一方、亭主関白で自分はゴロゴロしながら、食事も、掃除、洗濯、買い物まで、すべてを妻に押しつけている夫とつきあう妻は、休む暇もありません。年とともに、筋力は衰え、関節の動きは悪くなっています。以前と同じことが同じ時間ではできなくなります。それでも、夫のためにと頑張る結果、「過労死」に近い状況で、いろいろな病気を発病し、短命に終わる結果になってしまうのでしょう。
言いたいことはもうお分かりだと思います。
買い物は一緒に行って、重い物は持つ。風呂の掃除、庭の草むしり、窓ふきなど、など。できるだけ二人で仕事を分担していく。それも言われたからでなく、積極的にやる。
夫婦仲よく助け合って、ニコニコふたりで生きること。これが長寿の秘訣ということになるのではないでしょうか。熟年の今から心がけるべき課題だと思います。
一方、すでに単身の方は、ストレスをためず、孤独にもならぬ方策を立てれば、これまた、長寿でいられるということになります。
ただ息をしているという最後ではなく、生き生きと生きた結果の最後となるよう、熟年の今から心がけたいものです。 |