熟年の性を考える

bQ2
 
研究員  岩淵 成子
 
身体の痛み、共有していますか
 

 40代から始まった「脊柱すべり症」が悪化し、「脊柱管狭窄症」を起こして、「神経ブロック」をしました。 神経を直接さわることなど、30年程前に、歯を割ってしまったとき以来ですから、ほとんど、生まれて初めても同じです。しかも、今回は、腰から下の神経全部ですから、百本以上の錐を、一度に刺されたような痛みでした。レントゲン室に、響き渡るような声を、上げてしまいました。 その後、起きあがって歩けるまでの、2時間近くは、治療室の端にあるベットに、寝かされたままでした。

 丈夫な夫は最悪」とよく聞きます。
 妻の痛みに共感できず、具合の悪い妻に、自分の要求を、平気で出すことを指します。 私は、出産翌日、病室に来た夫から、職場の親睦旅行に行ってくると言われ、「どっちが大事だ」と、腹を立てたことを、今でも覚えています。 今回も、同様のことになっただろうと、想像しました。
 
 自分が経験したことのないことを、理解するのは、なかなか困難ですから、病気知らずの夫が、妻に共感できないことを、いちがいに責めるのは、気の毒なのかもしれません。 体験しないことを理解するのは、言葉によって、イメージを作ること以外には、ないでしょう。イメージを共有するためにも、互いが話し合わねば、理解は得られません。

 互いが聞き上手、話し上手になる必要がある、とは思います。
 痛いのよ」だけでは、伝わりにくい場合が多いものです。どんな痛みなのか。百匹のクマバチに刺されたような痛み。ドアに手を挟んだ時の痛み。向こうずねを何回も蹴られたような痛み。など。など。相手の経験を頭に浮かべ、それに合わせた例を持ち出すなどして、相手の理解を促すことが大事ではないでしょうか。

 痛みがいくらかでも理解できれば、何かやってあげたいという気持ちも、生まれるのではないかと思います。やって貰って当たり前と思っている男性も、心の底には、やってあげたいという気持ちを、抱えているはずですから。底にある気持ちを、表面に出してくることができれば、行動を起こすことでしょう。

 治療後の2時間を、そばにいて、話をしたり、手をさすったりしてもらえる人がいれば、30分くらい早く、歩けるようになったかもしれない、とも感じました。 医者のように治療はできなくても、そばにいることで、安心し、やる気を出すことができる。手当とは、そういうものではないでしょうか。
 互いが手当をし合う存在であると、自覚できたとき、この先まだまだ続く、老年期に向かっていく力が、湧いてくるのではないかと思いました。
 読者の皆様は、互いの存在を、どう受け止めておられるでしょうか。

 

 

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