熟年の性を考える

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研究員  岩淵 成子
 
素晴らしきSHネットワーク
 

 「退職後も『性別役割分業』は健在」の表題(NO9)で、朝、体操に来られないのは、夫の朝食準備があるからだ、と書きました。
 そのなかで、自分の健康のことを考えれば、来る女性が出るはずだ、とも書きました。

 1年経って、その時が来ました。ある日、町内の回覧板で知ったと、同じ町内の女性が参加されたのです。 他でやっている体操と違い、スキンシップ効果もねらった体操です。建前だの、世間体だのを脱ぎ捨てて、自分の心に素直に従う方には楽しい体操で、続けようという気にさせるはずです。
 

 彼女は、70才も過ぎ、夫とは死別し、対面など気にする必要が無かったからでしょう。1回で気に入ってくださり、「楽しいから友達を誘うわ」と言って、帰られました。

 本当に誘うのかと、あまり期待しなかったのですが、翌日3人の方が来られたのです。いずれも彼女の習い事友達で、健康を考えられている方々でした。

 女性と男性との違いが、如実に表れたのは、その後です。
 誘われた方が、それぞれ友達を誘ってくるようになり、半月もしない内に、女性が、男性の数と同じくらいになってしまいました。
 その間、男性はほとんど増えないので、男女の数が逆転する日が出てきました。

 6、7人の男達で、ぼそぼそやっていた体操が、常時10人以上になり、女性の持つ華やかさが加味されて、勢いが出てきました。
 朝の挨拶と筋トレは、2人組になりますが、見事に男女で組んでいます。「男女で組んでください」とは、一言も言っていないのですが。

 女性は、いったんルートがつけば、SH(主婦)ネットワークで情報が伝わり、行動を起こす。それに対し、男性はネットワークを持たないので、情報が伝わらない。
 何回か「地域の達人。妻に聞け」と書いてきました。以前から、理論的には、分かっていたことですが、絵に描いたようにそれが出たので、嬉しくなりました。

 私は、男性がダメだというつもりは、全くありません。私自身が、SHネットを持っていないのですから。 なぜ、持てなかったのかは明白です。地域で活動していなかったからです。職場中心の、男と同じ生活をしていたのです。
 どうすればいいのか。これも簡単です。地域で活動することです。地域で活動することは、金に結びつくことは、ほとんどありません。しかし、人に結びつくことはできます。
 

 これからの「冬の時代」には、金も大切ですが、人の結びつきも、もっと大切だと思います。人の結びつきを作るために、地域に出て行ってはいかがでしょう。妻を先達にして。 

 
 

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