こどものとなり

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小学校教諭  河原 町子
 

 おとうさん おかあさん 気をつけて

 

 それは、雨が降り続く昼休みだった。4年生の子供たちは机の周りを駆け回ってはしかられ、ごめんなさいをしたと思ったら又別なグループが体をぶつけ合って遊んではしかられるといったような、うっとおしい休み時間だった。

 その中に3人の男子が N君の机の周りに集まってなにやら笑っている。騒いでいる子供たちに「危なくないように遊びなさい」と注意をしたついでに近づいて、その机の上をのぞいてみた。

 

 何かを書き損じた後と思われる画用紙の真ん中に人がふたり書いてある。一人はひざまずいてもう一方の人の腰の辺りに顔をつけているようだ。

「これなあに」

と聞くと、へへへと笑いながら悪びれた様子もなくあっけらかんと Nくんはこたえた。

「ちんちんなめてるの」

「へえ」

といったが、私は内心びっくりしていた。なぜ、こんな絵をかくのだろう。

 この子どもたちに、私は、基本的な性の学習を始めたばかりであった。性について率直に語る私には、こんな絵を見せてもむやみにしかられないだろうと踏んだのだろう。その場にいた他の3人はばつが悪いような顔でたっていた。しかられるのかなあ、という心配もないわけではないのだろう。そわそわしだしている。

「 ふうん、こんなの、どこかで見たの」

と質問すると、 N君は、お父さんの持っているビデオで見たという。お父さんが大人の興味で見ていたアダルトビデオを小学校4年生の息子が見てしまったというわけなのである。オーラルセックスの場面は子供には、衝撃的だったのだろう。早速学校で知識を披露することにしたのだった。

「これは、先生がもらっていい。」

と聞くと、それほどの執着もないのか、すぐに私に手渡してくれた。

 N君は、家庭でポルノ雑誌にも遭遇するらしい。

 おとなが楽しみに見ることをこの場でどうこう言うつもりはないが、なぜ、もっと注意深く行動しないのだろうかと気になる。子供がビデオの操作ができるようになったら、子供に見られたくないものは、決して勝手に見られないように注意深くしまっておくべきだ。鑑賞するときも、子供が目を覚まして見てしまわないように十分気を使うべきだ。雑誌も、家庭に放置すべきでない。

 

 子供が初めて出会う性の情報が、ポルノというのはさびしすぎる。子供向けにきちんと書かれた性の本を家庭の本棚に備えておこう。

 



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