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今月のコラム
“人間と性”教育研究所所長
高柳 美知子

(2005/5/5更新)
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「性教育への介入は違憲の疑いが強く、不当である」

〜東京弁護士会が都教委へ「警告書」を発表〜
  いま、私たちの国は、まるで堤防が決壊したかのような勢いで“いつか来た道(軍国主義)”へ向かってひた走っています。

 このバックラッシュの嵐は、ようやく根を下ろしはじめたわが国の性教育にもなりふりかまわぬ容赦のなさで襲いかかってきています。

 といっても性教育への攻撃は今に始まったわけではありません。

 統一協会や勝共連合、そのおかかえ講師の高橋史朗明星大教授らは、“人間と性”教育研究協議会(略称:性教協)を「国家転覆、家庭破壊を狙う過激派(共産主義者)」なるレッテルを貼り、長年にわたって誹謗中傷を繰り返してきました。

 しかし今回の性教育攻撃は、保守派議員や「自由主義史観」の研究者、産経新聞、宗教団体など、いわば右派統一戦線の総攻撃ともいうべき大掛かりのもの。

 都立七尾養護学校に調査と称してやってきた都議会議員は、子どもの実態も、保護者の願いも、これまでの性教育の研究にも一切触れず、「過激だ。まるでアダルトショップのようだ」と決めつけ、性教育教材人形の服を剥ぎ、下半身を丸出しにして写真を撮って新聞に掲載。

 都教委は、性器・性交を授業で教えるのは「指導要領違反」だとして教師を処分。性教育の教材(副読本、人形、絵本、ビデオなど)の廃棄を命じたのです。

 

 この暴挙を黙って通過させるわけにはいきません。

 私たちは、不当対策協議会を結成、 1500 余の申立て人による「人権救済申立て」を東京弁護士会に提出しました( 2003 年 12 月 20 日)。申立て人はその後も増え続け、現在は 8000 人を超えています。

 そして嬉しいことに、本年 1 月、東京弁護士会から都教委に対して、次のような警告が発せられたのです。(詳細は〜を参照)

 @没収物について早急に返還をすること

 A教材(からだうた等無形の教材を含む)の使用禁止の処置を早急にやめる

 B元校長ら職員に対する不当な処分を撤回すること

 C報道機関の真実に反する報道に対して是正を求めること

 いかがですか。「胸のすくような」の言葉がぴったりの警告書ではありませんか。

 人は“どう生きるか”を思うとき、自らの「性」をはなれて「生」を考えることはできません。体はその人間が生きていくための土台。生きていることの存在証明。何人も子どもから「性を学ぶ権利」を奪うことはできません。

 いま、大切なことーそれは、今回の警告書を“背中に背負って”自分では声をあげられない子どもたちの「性の学習権」をとりもどす運動を一層前進させる。そして“教え子を再び戦場に送るまい”の志を胸に深く刻み、憲法・教育基本法改悪を許さない連帯の輪を日本中に広げていくことではないでしょうか。