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今月のコラム

“人間と性”教育研究所所長代行

金子由美子


(2013/2/20更新)

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セクシュアルマイノリティの相談

  

 

 私は、三十数年中学校の養護教諭を続けてきたなかで、様々なセクシュアリティの生徒からの相談を受けています。社会で孤立しがちな彼ら彼女らは、なにかと頼りにしてくれて、卒業後も交流を続けています。

 しかし、私自身が、セクシュアルマイノリティの存在を知らずにいた若い頃に、相談を受けたことはありませんでした。当然、学校にもいたはずの当事者の生徒にとって、信頼できる存在として映っていなかったからでしょう。

 その後、性の学習を重ね、様々なセクシュアリティの方々と実際にお会いし、自らの内にある差別偏見を払拭しはじめたころから、急速に、同性愛や性同一性障害についての相談の件数が増えたのです。

 去年の夏は、性同一性障害の手術を受けるための海外行き飛行機に乗り込む寸前で不安になり、「親にも伝えてないけれど、入院する病院を知らせておくね」と電話してきた卒業生もいます。

 中学時代は彼女だった彼は、今は、すっかり男らしくなり、彼女と暮らしています。戸籍はまだ変えていないので、戸籍上は女性どうしのカップルですが、彼も彼女も同性愛者ではありません。

 セクシュアルマイノリティの相談の中には、様々なケースがあり、アドバイスをするためには、自分のこれまでの知識や情報だけでは対応しきれず、卒業生を含めて、当事者の方々とのネットワークを広げるようにこころがけています。そして、できるだけ当事者どうしを橋渡しし、親や友達に理解してもらうためのステップや、メンタリティ、最新医療などなどアドバイスが受けられるようにしています。

 

 セクシュアルマイノリティについては一冊本を読んだだけでは、十分とは言えません。同じカテゴリーにいる人のなかにも、それぞれに個性があり、まさに様々だからです。

 特に、世間に、誤解や偏見が広がっているのが、同性愛です。テレビなどで、お笑いのネタにされることもあり、当事者の生徒は、親友や親など身近な人にも打ち明けることができずに怯えています。

 まず、図書館や大きな書店に出かけ、同性愛についての書かれている専門的な書籍を数冊手にとってみてください。どこにも、5%から10%の割合で同性愛の人が存在すると記述されています。当事者の方が書かれた本も、見つかるといいですね。そしてご自身の持っている誤解や偏見に気がつくことからはじめましょう。

 勇気をだして相談した養護教諭に、「同性愛なんか、結婚しちゃえば直る」というでたらめなアドバイスをされたという当事者もいます。また、同性愛に、生理的な嫌悪感を持っていたならば、以心伝心で相談者にも伝わってしまい、こんな人を頼りにするんじゃなかったと後悔させてしまうことでしょう。

 これまで、性についての科学的解明は遅れていました。しかし、近年、性を科学的に文化的に研究されるようになり、世界中で、性の学習が深められ、研究がはじまりました。これまでの考え方が、間違っていたり、偏った見方であったこともわかってきました。

 また、これまで、存在していたにもかかわらず少数しかいなかったことで、いないことにされていたセクシュアルマイノリティの存在があきらかになり始めました。これまでの法律や制度の見直しや、偏った見方をなくし、一人ひとりの人権として見ていく時代になったのです。

  





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