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今月のコラム

“人間と性”教育研究所所長

高柳美知子


(2010/9/17更新)

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《幼児と性教育》
  子どもの「?」は、親へのプレゼント!


 

  「ママのオッパイはなんでふくらんでいるの? パパのお股にぶらぶらしているのはなーに?と子どもから聞かれ、ハラハラドキドキしています」のお便りが寄せられました。同じような体験をお持ちの方も多いのではありませんか。
  私が「女の子」だったころ、日本は戦争をしていました。“産めよ殖やせよ”の時代で、銭湯に行くとおなかの大きいおばさんをよく見かけたものです。おなかの中の赤ちゃんはどこから出てくるのだろう? 不思議で不思議で、ある日、思い切っていっしょに湯船につかっている母親に聞きました。
  「おなかの中にいる赤ちゃん、どこから生まれるの?」
  「おばさんのおなかをよーく見てごらん。ほら、おへそから下へ線がずーと伸びているでしょ。あそこが割れるんだよ」 
  そう言われて、おばさんの大きなおなかにじっと眼をやると、たしかに青黒い線が放物線をえがいて下に伸びているではありませんか。ガーン?! もうショックで、目の前がまっくら。  いつとはなく忘れていたこの記憶がよみがえったのは、初めて長男をみごもったときでした。大きく突き出た腹のうえに、うっすらと浮かびあがった放物線をみながら私が強く思ったことーそれは、わが子から「赤ちゃん、どこからうまれるの」と聞かれたら、ちゃんと答えられる母親になろうということでした。
  息子が「ママ、赤ちゃんはどこからうまれるの」と質問したのは、彼がたしか小学一、二年生だったと思います。夕飯の支度で忙しくしていたときでした。子どもの質問は、いつでも不意打ちです。でも、予想はしていましたので、「ほーら、来たぞ」と準備していた回答を頭の引き出しからとりだして答えました。
  「女の人には、おしっこの出るあなとうんちのでるあなの間に、もう一つ赤ちゃんの通り道があるの。いつもは閉じているけれど、生まれるときはそこを通って出てくるのよ」
? 難問を突破した安堵感でほっとしたのもつかの間、息子の「きったねえなあ」の一言で、私はただうろたえるばかり…。自分のからだ・性の学習の不十分さを思い知らされた思い出です。


 子どもは聞きたがりや、知りたがりや。いやらしい気持ちで質問をしているわけではないのです。子どもの性の質問にきちんと向き合うには、まず、親自身が性について学習すること。そして、子どもが質問してきたときは、「逃げない」「怒らない」「ウソをつかない」の三つの視点が大切です。できればもう一つ、「リラックスして」が加わればもっといいですね。
 親が質問から逃げたり、叱ったり、はぐらかしたりすると、子どもは「からだや性に関することを聞いてはいけないんだ」というマイナスイメージをもってしまいます。性に関する先入観をもってしまうまえに、きちんと教えてあげることが大切です。
 幼児期の性教育は、「からだっていいな、私っていいな」と自分自身を肯定する気持ちを感じとらせること。そして、命の大切さを学ぶこと。自分の体はもちろん、他者のいのちを尊重し、大切に考えることができる人間に育てるーこれが課題です。
 家庭での子どもの質問は、学校の勉強と違って突然にやってきます。カリキュラムも指導書もありません。だからこそ、親自身がちゃんとしたセックス観、男女観をもっている必要があります。