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今月のコラム
“人間と性”教育研究所所長
高柳 美知子

(2008/10/5更新)

 bQ2

恋愛学習の時間 (8)

冬ソナをお手本の一つに

―すてきな思春期を生きて

 

  韓国ドラマ「冬のソナタ」を見てない方も、中高年女性を中心にした冬ソナブームはご存じでしょう。このドラマが描く恋は初恋です。ユン・ソクホ監督も「初恋にまつわるひたむきさ、つまり愛の原型≠表現した」とインタビュー記事の中で語っています。

 「愛の原形」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、ソクホ監督は初恋について「何の準備も計算もないとき、いきなり心に響いてくるもの。恋の中でもいちばん清らかで美しいもの」。そして、そうした考えに基づき「年齢を重ねても、初恋のときの気持ちをもう一度思い出してほしい、という気持ちでつくった」と言っています。

 書店やコンビニで子どもが簡単に買える雑誌などでは「一週間でデート力をアップ」「恋愛心理テスト」などのゲーム感覚による恋愛指南記事が目立ちます。それだけに私は「冬のソナタ」を恋愛を学ぶ一つのお手本にしてほしいと思います。

 物語は主人公の男女が高校生のときから始まります。遅刻常習者の彼女、かげりのある彼。二人は同じ放送部員で、キャンプに行ったりする中で言葉を交わし初恋に落ちます。美しい景色と音楽をバックに初恋の喜びがきめ細かく描かれます。

 彼は交通事故にあって死んでしまうのですが、十年後、彼にそっくりの男性を彼女が街で見かけ、紆余曲折のある大人の恋愛ドラマに転じます。

 しかし、物語は繰り返し「愛の原形」(初恋)に戻ろうとする二人の生き方を描くのです。ドラマの魅力はその純粋さにあるといえます。中高年の女性たちは、胸底に埋もれている自分の「愛の原型」を思い起こしているのかもしれません。

 高校生という年ごろは、愛の原形をつくる時期でもあります。ゲーム感覚の恋愛をそそのかすような雑誌に屈することなく、すてきな思春期を生きてほしいのです。

 私は中学校教師だったころ、生徒たちにリレー小説を書かせたことがあります。自分の体験や想像を自由に書き込み、続きを別の者がまた同じように書き継ぎ、一巡するとユニークなお話ができあがっていました。

 だれでも作家的な魂を持っているのが思春期とも言えます。冬ソナで描かれる高校生たちの初恋を見た子どもたちに、その後の主人公たちの物語をリレーで創作させるのも面白いのではと思います。