<コラム21>
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今月のコラム
“人間と性”教育研究所所長
高柳 美知子

(2008/4/30 更新)

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恋愛学習の時間 (6)

 
 共同通信連載
思春期は自分を磨いて
〜分身探しへの旅立ち〜
 

 中学、高校に招かれ思春期について話すとき、恋愛にも関心がある子が多いので私はギリシャ神話のアンドロギュノスの話をよく持ち出します。

 人間は最初、頭が二つに手足が四本あり、二人の人間が背中合わせにくっついたような丸い形。男と女が背中合わせになっているのがアンドロギュノスで、毎日、元気いっぱい、おしゃべりいっぱい。ついには神たちを脅かすまでに勢力を伸ばしてきたので、神たちは人間の力を弱めるために、球体を半分に切り離してしまいます。

 女と男はそれぞれ行きたい方向に飛び出し、やりたいことしますが、日がたつと寂しくてたまらず、また一緒になりたいと強く願うようになった―というお話です。

 男女両性を備えていた球体人間が、引き裂かれた自分の分身を求め合う―これが愛のルーツだと解説を加えます。この神話は生徒たちの心にも強くアピールするようで、講演の後の感想文には「自分の分身はどんな人だろう。今どこで何をしているのかと思うと、自然と胸がときめきます」とつづる者が多くいます。

 ちなみに、sex(セックス)の語源といわれるsecare(セカーレ)は、分割するの意であること、球体人間には、「男・女」だけでなく「男・男」「女・女」のペアもあったことを付け足して話してあげます。

 私がこの神話を子どもたちに話す狙いはもう一つあります。

 子どもたちの恋愛願望はテレビドラマなどの影響もあってかつてよりずっと強くなっており、また、すてき≠ネ相手を求めがちです。しかし、私は黒板に大きさや形の違う形を書いて、その二つが決してうまくは重ならず、バランスがとれないことを指摘します。そしてこう続けます。

 「身の回りでカップルになった友達がいたとしても自分が後れを取ったとあせらなくていいのよ。もともと一つの球体だったんだから、すてきな人間になるように自分を磨いていれば、あなたの分身もきっと、あなたを待ちながら自分を磨いているわ」

 自分を大事にして経験や勉強を積み重ねていくことがいいパートナーと出会うことにつながるということを伝えたいと思っています。