《ホーム》
                  
今月のコラム
“人間と性”教育研究所所長
高柳 美知子

(2007/8/15更新)

 bP4

敗戦から62年 

 
 敗戦から62回目のこの夏、「戦争」をテーマにした本を二冊、刊行しました 。  

 一冊は、『あなたは「三光作戦」を知っていますか』(新日本出版)。「三光 作戦」とは、日本軍が中国の華北(北部地方)で行った掃討作戦のこと。その作 戦の残虐さを、中国側が「殺光(殺しつくす)」 「焼光(焼きつくす)」「搶光 (奪いつくす)」と呼んだことから三光作戦と呼ばれています。  

 「戦争放棄」の憲法を捨て、再び「戦争のできる国」にしようとの動きが急ピ ッチに進行している今日、日本軍の加害の事実を中学・高校生に知ってもらいた いと元皇軍兵士・坂倉清さん(86歳)の体験を聞き取ることにしたのですが、 あまりの残虐・非道さに何度も耳をふさぎ、「やめて!」と声をあげそうになり ました。

  この本を通して中学・高校生に知ってもらいたい、考えてもらいたいもう一つ は、日本軍はなぜ、こんな蛮行をやったのか、やれたのかということ。そして、 元兵士の坂倉さんが、なぜいま自分の罪業を告白したのかということ。  

 坂倉さんは、「私を『日本鬼子(リーベンクイズ)』に仕立てあげたものは、 軍国主義の《教育》と《兵役》だ」といいます。そして最後に、「日本の子ども たちへ」の遺言として次の三つをあげました。  

 ・戦争は無残なものです。

 ・戦争からは良いことは生まれてきません。  

 ・戦争の兆しがちょっとでも見えたら、すぐ消しましょう。  

 15年戦争と共に育ち、軍国主義教育で徹底的に調教された生粋の“戦争っ子 ”である私には、坂倉清さんの三つの遺言は自分のものでもあります。  

 もう一冊は、『戦争と性ー韓国で「慰安婦」と向き合う』(かもがわ出版)で す。

 昨年十月、私が団長をつとめて九名で訪問した韓国の「ナヌムの家」での見 聞を素材に、「慰安婦」問題を授業で取り上げた実践や元日本兵の赤裸々な証言 、文学にみる“戦争と性”、韓国の作家の漫画など、日本軍「慰安婦」問題の今 日的論点を立体的に検証しました。  

 西野留美子さん(「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク・共同代表)から は、次の推薦の言葉をいただきました。 「『慰安婦』問題は『狭義の強制連行』に収斂されるものではない。性と何か ? 尊厳の回復とは何か? 本著はセクシュアリティと『女性への暴力』の視点 から、その本質をえぐり出している」  お目を通していただければ幸いです。